2007 Fiscal Year Annual Research Report
IRFファミリー転写因子を介した感染防御の分子機構
Project/Area Number |
19041021
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高岡 晃教 Hokkaido University, 遺伝子病制御研究所, 教授 (30323611)
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Keywords | IRF転写因子 / ウイルス感染 / アポトーシス / 病原体認識受容体 / p53 |
Research Abstract |
「研究目的」 これまで多くのIRFファミリーメンバーが病原体認識受容体下流で活性化を受け、宿主細胞における自然免疫応答に関与することを示してきた、この中ではI型IFNsの発現誘導のみならず、炎症性サイトカインやケモカインの産生誘導に関与しているものも見出してきた、更にIRF-5はウイルス感染細胞のアポトーシス誘導に関与するという新たな役割も見出しつつある、本研究では特にIRF-5に着目し、ウイルス感染時の宿主応答における新しい側面を探り、機能発現に必要な活性化経路を解明する、一方、自然免疫系における宿主側の新たな病原体認識機構を同定するために、核酸認識受容体の検索・同定を行い、感染防御系での役割を追究する。 「今年度の成果」 本年度、IRF-5遺伝子欠損マウスをさらに解析することによってウイルス感染におけるIRF-5の新しい側面を明らかにした、水泡性口内炎ウイルス(VSV)や単純ヘルペスウイルス(HSV-1)の感染によりIRF-5遺伝子欠損マウスは野生型マウスに比べ、感受性が高いことが示された、この場合、血清中IL-6のみならず、IFN-αの誘導レベルもIRF-5遺伝子欠損マウスの方が低下する結果となった、一方、マウス線維芽細胞(MEFs)をVSVおよびHSV-1感染させた場合、これらのサイトカインの発現は遺伝子欠損マウスと野生型マウスで違いを認めなかったが、IRF-5欠損MEFsにおいてはウイルス感染によるアポトーシスの誘導が抑制され、上清中のウイルス力価が増加していることが示された、以前報告したウイルス感染によるp53とは異なった経路で、IRF-5はウイルス感染細胞のアポトーシス誘導に関与していることが明らかとなった、一方、IRF-3や-7の活性化につながる細胞質内DNA認識機構の解析を進めた結果、IFN誘導遺伝子がコードするタンパク質の中で、細胞質内DNA受容体の候補分子としてDAI(DNA-dependent activator of IRFs)を見出すに至った、MEFsにDAIを発現させた場合、DNAの細胞内投与によるIFN-α/βの発現誘導が有意に増強された、更に、RNA干渉を用いてDAIの発現を阻害することで、その発現誘導が部分的ではあるが抑制された、FRET解析及び共沈実験によりDAIがDNAと結合することが示され、かつDNA刺激依存的にDAIがIRF-3やTBK1と会合することも見出した、これらの結果はDAIが細胞質内DNAセンサーとして機能している可能性を示唆しており、DAIの下流でTBK1-IRF-3を活性化することでI型IFN遺伝子発現を誘導すると考えている。
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Research Products
(8 results)