2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内侵入性細菌に対する細胞内認識システムとオートファジー誘導の解析
Project/Area Number |
19041023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中川 一路 The University of Tokyo, 医科学研究所, 准教授 (70294113)
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Keywords | オートファジー / 菌体成分 / ペプチドグリカン / マイクロインジェクション / Nod like receptor |
Research Abstract |
A群レンサ球菌は宿主の上皮細胞内で、高頻度にオートファジーを誘導し、オートファゴソーム内で分解される.しかし、宿主細胞内で認識に必要な菌体成分については、その分子は明らかとされていない.そこで、本研究ではこのオートファジーに認識される菌体分子を明らかとするため、トランスポゾンを用いたランダムミューテーションライブラリを作成し、細胞内でオートファジーにより認識されない変異株の単離を試みた.その結果、約3000株の変異株より2株のオートファジーを誘導しない変異株の分離に成功した.この変異株では細胞内への侵入性は親株とは変化がなく、細胞質まで菌が脱出しているが、オートファゴソームの誘導は認められなかった.そこでこの変異株のゲノムDNAの変異部位の解析を行ったところ、細胞壁の合成および菌の分裂に必至な遺伝子群であるDCWクラスター領域のプロモーター領域にトランスポゾンの挿入が認められ、この挿入によりDCWクラスターの各遺伝子の発現量が著しく抑制されていた.また、この変異株ではバンコマイシンーFITCの染色により、菌体分裂の不正と菌の大きさの不正が著しく認められることから、菌体表層の細胞壁に変異が入っていることが予測された.そこで、これらの変異株および親株から細胞壁の主成分であるペプチドグリカンを精製し、マイクロインジェクションにより宿主細胞内の細胞質での変化をみたところ、親株由来のペプチドグリカンでは非常に高頻度のオートファジーが誘導されたのに対し、変異株では誘導はほとんど認められなかった.これらの結果から、A群レンサ球菌の誘導するオートファジーには菌体の細胞壁成分の立体構造が必須であることが明らかとなった.
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Research Products
(5 results)