2007 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスおよび細胞由来FLIPによる宿主細胞の増殖・感染防御制御機構の解析
Project/Area Number |
19041034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米原 伸 Kyoto University, 生命科学研究科, 教授 (00124503)
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Keywords | 遺伝子 / ウイルス / 細胞・組織 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
Death receptorを介するアポトーシスの誘導にはcaspase-8の活性化が必須であるが、これを抑制する分子として、virus由来FLIP(v-FLIP)が発見された。我々は、ウマγ-ヘルペスウイルスのv-FLIP E8が細胞の増殖・分化やがん化に深く関わるWntシグナルを強力に増強することを見いだした。また、この増強作用はWnt canonical signal(β-cateninの安定化→転写因子TCFの活性化)に対するものであり、その作用点はβ-cateninの安定化の下流であることを明らかとした。 そして、v-FLIPのWntシグナル増強の分子機構を明らかにするため、酵母を用いたtwo-hybrid法と抗FLAG抗体によってFlag-E8と共免疫沈降するタンパク質の質量分析(LC-MS/MS)解析を実施した。質量分析解析ではPI3キナーゼ制御サブユニットp85が、two-hybrid法ではPI3キナーゼ制御サブユニットp55を同定することができた。これらの分子は実際にv-FLIP E8と会合すること、E8と強発現することによってE8のWnt3a処理によるTCFの転写活性増強作用をさらに強めること、安定型の変異β-catenin発現によるTCFの転写活性増強作用も同じように強めることが明らかとなった。PI3キナーゼ活性がβ-cateninの安定化の上流でWntシグナルを増強するという報告はなされているが、PI3キナーゼ制御サブユニットがβ-cateninの安定化の下流でWntシグナルを増強するという興味深い結果である。v-FLIP E8のWntシグナル増強活性の分子機構を、さらに解析している。
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