2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19041039
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塩田 達雄 Osaka University, 微生物病研究所, 教授 (00187329)
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Keywords | HIV / ゲノム / SNP / コホート / アフリカ / カプシド |
Research Abstract |
TRIM5αはHIV1型(HIV-1)増殖の初期過程をアカゲザル細胞中で阻害する因子として2004年に同定された。昨年度我々は、サルにおける増殖能が株により異なるHIV2型(HIV-2)とカニクイサルTRIM5αとの関係を調べ、HIV-2カプシドタンパク質(CA)の119番目のアミノ酸がプロリンの株はカニクイザルTRIM5αによる感染抑制を受けるが、アラニンまたはグルタミンの株はカニクイザルTRIM5αによる感染抑制を受けないことを明らかにした。この1アミノ酸のヒトTRIM5αによる感染阻害への影響を検討したところ、カニクイサルTRIM5αによる感染阻害を受けない株はヒトTRIM5αによる感染阻害も受けにくく、カニクイサルTRIM5αによる感染阻害を受ける株はヒトTRIM5αによっても感染が阻害されやすいことも示した。そこで本年度は、オックスフォード大学Rowland-Jones教授と共同で、西アフリカのHIV-2感染患者コホートの69名のCAのアミノ酸配列を調べた。その結果、血中ウイルス量の違いと有意な相関のあるアミノ酸変異が3カ所(119、159、178番目)見つかった。119番目のアミノ酸は、まさに我々がTRIM5αの感染阻害効果との関連を見いだした場所であり、ヒトTRIM5αによって感染が阻害されるプロリンを持つHIV-2に感染していると血中のウイルス量が低いことから、119番目のアミノ酸を含むカプシド領域がヒトTRIM5αの標的であること、及びヒトTRIM5αがHIV-2感染個体内のウイルス増殖の制御に寄与していることが強く示唆された。感染者個体内で上記のアミノ酸変化が起きたことを示す事例は見つからなかったため、感染しているHIV-2のアミノ酸配列を解析することにより、感染者の予後予測が可能になると考えられる。
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Research Products
(17 results)