2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19041047
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
堀田 博 Kobe University, 大学院・医学研究科, 教授 (40116249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝二 郁夫 神戸大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (40356241)
足達 哲也 神戸大学, 医学部, 助教 (60345014)
定 清直 福井大学, 医学部, 教授 (10273765)
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Keywords | ウイルス / 遺伝子 / 感染症 |
Research Abstract |
HCV J6/JFH-1株をHuh-7.5細胞で27、38、47代継代したウイルス株(P-27、P-38、P-47)は、親株に比べて50〜300倍高い感染性ウイルス粒子産生能を示した。P-27には8ヵ所(E2に4ヵ所、NS2に2ヵ所、NS5AとNS5Bに1ヵ所ずつ)のアミノ酸変異がみられ、P-38では上記8ヵ所に加えてCoreに1ヵ所、P-47では更に5'-UTRとNS5Bに1ヵ所ずつの変異がみられた。reverse genetics法により親株にP-27で見られた8ヵ所の変異をすべて導入すると感染性ウイルス粒子産生能が約10倍増加することを確認した。しかし、7ヵ所以下の部分的変異導入では感染性ウイルス粒子産生能の有意な増加は観察されなかった。P-27は親株に比べて抗CD81抗体による吸着阻害を受けにくく、その性質はE2の単一変異(N534H)によるものであった。この変異によるE2の糖鎖付加の欠失が、ウイルスレセプターとの相互作用に影響を及ぼして、HCVの感染効率を増加させている可能性が考えられた。さらに、P-27ではウイルス遺伝子複製能とウイルスタンパク質合成能が親株に比べて軽度増加していた。このような複数の変異が複合的に作用して顕著な感染性ウイルス粒子産生能の増加をもたらしたものと考えられた。 また、HCV感染細胞と非感染細胞を用いてプロテオーム解析を行い、感染の持続に伴って発現が減少する宿主タンパク質として、FABP1を同定した。FABP1は脂肪酸取込みに重要な役割を果たしているが、HCV感染によるFABP1発現の低下が、細胞の脂質代謝等にどのように影響を及ぼしているかについて、現在解析を進めている。同様に、肝細胞への糖取込みに重要な役割を果たしているGLUT2の発現がHCV複製により抑制されることも明らかにした。mRNA定量やルシフェラーゼレポーターを用いたプロモーターアッセイにより、GLUT2発現の抑制が転写レベルでおこっていること、及び肝細胞において重要な転写因子HNF1αが関与することを明らかにした。HCVが肝細胞の糖・脂質代謝異常を引き起こす分子機序を考える上で興味ある知見である。
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Research Products
(20 results)