2008 Fiscal Year Annual Research Report
黄色ブドウ球菌の病原性因子発現に影響を及ぼす外来性因子に関する研究
Project/Area Number |
19041050
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小松澤 均 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90253088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神原 賢治 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (60305141)
大貝 悠一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (40511259)
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / 血清 / 病原性因子 / 発現調節性因子 / 先天性免疫 |
Research Abstract |
黄色ブドウ球菌はヒトに種々の疾患を引き起こす病原菌である。本菌の病原性発現調節については多くの研究があるが、実際の生体内での病原性因子発現性については不明な点が多い。平成20年度は血清中における黄色ブドウ球菌の病原性発現のメカニズムについて詳細な検討を行い、以下の研究成果を得た。 (1) 血清中における病原性因子発現に関与する因子の同定 : 血清中においては主に溶血毒、補体抵抗性因子、好中球遊走阻止因子などの先天性免疫機構に対する抵抗性因子の発現上昇が認められた。この病原性因子発現上昇は血清中に鉄イオンを添加することで抑えられたため、血清中の遊離鉄の欠乏がこれらの病原性因子発現に関与していることが明らかになった。また、この効果は完全合成培地の系でも再現性が認められた。 (2) 血清中での発現上昇に関与する転写調節性因子の同定 : 黄色ブドウ球菌のゲノム上に存在する17個の2成分制御系因子について変異株を作成し、血清中での発現性を検討した結果、Saeが関与していることが明らかになった。 (3) 血清中での黄色ブドウ球菌遊離鉄獲得阻止因子の検討 : 合成培地と血清での菌の病原性因子発現上昇を抑制する添加鉄イオン濃度は血清の方が10倍高いため、血清中に鉄獲得阻害因子の存在が示唆された。50kDa以上のタンパクが関与していることを明らかにした。 本研究により生体中での病原性因子の発現性は培地中のものとは異なること、また鉄イオンの欠乏は大きく病原性因子発現に影響を及ぼすことを明らかにした。
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Research Products
(2 results)