2007 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1宿主域の分子基盤に関するウイルス学的研究
Project/Area Number |
19041051
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
足立 昭夫 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90127043)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 知輝 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (70380087)
内山 恒夫 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90151901)
野間口 雅子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80452647)
|
Keywords | HIV-1 / サル細胞指向性 / Gag / CA / Vif / 馴化 |
Research Abstract |
HIV-1の種トロピズム(サル細胞での非増殖性)の分子機構を明らかにするため、プロトタイプのサル細胞指向性ウイルスNL-DT5Rから遺伝子工学的手法や細胞内馴化で構築された種々のウイルスクローンについて分子ウイルス学的解析を行なった。増殖効率が向上したウイルスクローンのゲノム構造を決定することにより種トロピズムの分子基盤の解明を目指した。得られた成績は以下の如くである。(1)遺伝子工学的手法で作製したシクロフィリン結合ループに関する多数の変異体や各種Vif変異体・置換体の中にはサル細胞での増殖効率が親株より優るものはなかった。Vifについては広範囲のアミノ酸が種トロピズム決定に関与しており、機能を持つ変異体・置換体の作製はほぼ不可能であると結論された。(2)NL-DT5RはサルHSC-F細胞で増殖するが、SIVmac239よりかなり非効率的であり、また、TRIM5_αによるウイルス抑制を解除できていなかった。したがって、シクロフィリン結合ループ以外のHIV-1CAにサル細胞でのウイルス複製に関わる領域があることが強く示唆された。(3)増殖効率や細胞変性効果(CPE)惹起能を指標としてHSC-F細胞でのウイルス馴化を試みた。NL-DT5R(X4ウイルス)とそのR5ウイルスバージョンから、感染細胞の長期培養により増殖効率の著しく向上したウイルスが出現した。これらのウイルスは増殖効率だけでなくHSC-F細胞に対するCPE惹起能も格段に増強されていた。以上の結果から、HIV-1の種トロピズム決定にはGag-CA(シクロフィリン結合ループおよび未同定の領域・ドメイン)およびVifが重要であるが、馴化型ウイルスのゲノム解析を更に続けて明確な結論を得る必要があることもわかった。
|
Research Products
(9 results)