2008 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫の病原性を決定する免疫抑制メカニズムの解明
Project/Area Number |
19041056
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久枝 一 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 准教授 (50243689)
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Keywords | マラリア原虫 / 免疫回避 / 制御性T細胞 / TLR9 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
申請者らはこれまでにマウスマラリアモデルを用いて致死性感染を起こす高病原性の原虫株は宿主免疫の抑制に働くCD4^+CD25^+制御性T細胞(Treg)を選択的に活性化することで宿主免疫を抑制し免疫回避を謀ることを明らかにしてきた。今年度はマラリア原虫によるTregの活性化機構を解析した。 マウスに高病原性のマラリア原虫を感染させると速やかに原虫は増殖し、感染後10日目までに全例死亡する。これらのマウスではCD4^+CD25^+foxp3^+Tregが有意に増加していた。感染マウスのTregは非感染マウスのもめと比較して非常に強い抑制機能を持っていた。以上のことからマラリア原虫がTregの増殖を促し、その抑制性の機能を増強することが示された。そしてこのTregの活性化は樹状細胞とTregと感染赤血球を共培養することによって再現された。感染赤血球は樹状細胞に何らかのシグナルを伝えていることが想定され、またマラリア原虫が種々のTLR(Toll-like receptor)のリガンドを持つことからTLRが関与している可能性が考えられた。そこで、TLRのアダプター分子であるMyD88、TRIF欠損マウスから樹状細胞をTregの活性化実験に供した。TRIFを持たない樹状細胞はTregの活性化を誘導したが、MyD88を欠く樹状細胞は活性化することができなかった。さらに、TLR9欠損樹状細胞もTregを活性化させることができなかった。Tregの強毒性がTregの選択的活性化に起因することから、Tregを活性化できないTLR9欠損マウスではPyLに対して抵抗性を獲得できることが予想された。実際に、この変異マウスでは野生型で見られる感染後のTregの活性化が認められなかった。そして、野生型マウスでは致死率は100%であるがこのマウスでは50%程度であり、部分的ではあるが抵抗性を示すことが確認できた。
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