2008 Fiscal Year Annual Research Report
細菌の多剤耐性化に関与するインテグラーゼの結晶構造と基質-酵素相互作用の解析
Project/Area Number |
19041061
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山口 佳宏 Kumamoto University, 環境安全センター, 准教授 (10363524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒崎 博雅 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (70234599)
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Keywords | 多剤耐性菌 / 遺伝子組み換え酵素 / X線結晶構造解析 / 速度論的解析 / 酵素 / 熱力学的解析 / 核酸認識 / インテグロン |
Research Abstract |
グラム陰性細菌において、プラスミド性の多剤耐性菌の出現は、薬剤耐性遺伝子の拡散という観点で臨床の現場で問題となっている。このプラスミド上には、薬剤耐性遺伝子の組み換え反応を触媒しているIntegron Integrase(IntI)をコードした遺伝子があり、IntIはプラスミド上に存在する薬剤耐性遺伝子を切り離し、転写活性を高めるためにプロモーター付近に組み込んだり、染色体に組み込む反応を触媒することで、多剤耐性菌の拡散が危惧される酵素である。 本研究では、臨床において頻繁に単離されるIntI1を研究対象として、IntI1の精製を行い、X線結晶構造解析を含む物理化学的な手法を用いて、構造機能解析を行うことが目的である。また本研究は、プラスミド性多剤耐性菌の検出法開発において重要である。 平成20年度は、pCold発現系で大腸菌内で発現させたN末にHis-Tagを融合させたHis-IntI1の精製条件を検討した。His-IntI1はリン酸緩衝液(pH7.0)中では、His-Tagと親和性があるNiカラムには結合しにくいことがわかった。またHis-IntI1は、Tris緩衝液(pH7.5)またはHepes緩衝液(pH7.5)中において、Niカラムで分離・抽出を行ったHis-IntI1溶液は、260nmに極大吸収があることから、核酸と複合体を形成したHis-IntI1が精製されていることがわかった。さらにHis-IntI1は、EDTA存在下において、大腸菌の染色体DNAを切断する機能を有することがわかった。
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