2007 Fiscal Year Annual Research Report
溶血レンサ球菌が産生するNAD分解酵素による毒性発現機構の研究
Project/Area Number |
19041063
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
木元 久 Fukui Prefectural University, 生物資源学部, 准教授 (70283166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 豊 福井大学, 医学部, 准教授 (80211522)
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Keywords | 溶血レンサ球菌 / ストレプトリジン / NAD分解酵素 |
Research Abstract |
病原性の溶血レンサ球菌は,咽頭炎,リウマチ熱,急性糸球体腎炎,猩紅熱などを引き起こし,特に本菌による劇症型の感染症は死亡率が高い。しかしながら,溶血レンサ球菌の病原機構については,現在でも不明な点が多く,活発に研究が続けられている。本研究の目的は,溶血レンサ球菌が産生する病原性因子の作用機序や病原性メカニズムを明らかにすることである。 溶血レンサ球菌は多くの毒素を分泌することが知られているが,本感染症の確定診断には本菌が産生する溶血毒素であるストレプトリジン0(SLO)に対する中和抗体価の測定が臨床的に使われている。SLOは本感染症において古くから重要な毒素と考えられ詳細に研究されてきたが,その病原性への関与については現在でも不明な点が多い。これまでに申請者らは,SLOがエフェクター分子であるNAD分解酵素(NADase)を宿主細胞内に移行させることを明らかにしている。SLOはコレステロール結合性細胞溶解毒素ファミリーに属し,他の病原菌においても高度に保存されているが,特定の毒素を宿主細胞内に移行させる機能が確認されているSLOだけである。我々は,SLOの分子量がファミリーの中で最も大きく、そのN末端領域はSLOに特徴的なことから、この領域がNADaseを宿主細胞内に移行させるために必要な領域ではないかと考え,その機能を解析した。その結果,(1)SLOのN末端領域がNADaseの細胞内移行に関与していること,(2)SLOはNADaseと分子間相互作用していること,(3)SLOは細胞膜に孔を形成するだけでなく,溶血活性とは別の細胞毒性を有していることを明らかにした。現在,SLOによるNADaseの細胞内移行およびSLOの細胞毒性機構について,さらに詳細に解析している。
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