2008 Fiscal Year Annual Research Report
プラス鎖RNAウイルスの複製複合体形成過程の生化学的解析
Project/Area Number |
19041068
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
石川 雅之 National Institute of Agrobiological Sciences, 植物・微生物間相互作用研究ユニット, 上級研究員 (70192482)
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Keywords | ウイルス / RNA / 複製 |
Research Abstract |
植物プラス鎖RNAウイルスであるトマトモザイクウイルス(ToMV)は、130Kおよびそのリードスルー産物である180K複製タンパク質をコードする。これまでの研究から、ToMVゲノムRNAは翻訳と共役して130Kタンパク質と結合し、core pre-membrane-targeting complex (core PMTC)と呼ばれる複合体を形成し、さらにこれに180Kタンパク質が結合して複合体PMTCを形成してから、生体膜に結合して複製複合体を形成することが示唆されている。本年度は、タグを付した130Kタンパク質を利用してcore PMTCを精製し、共精製された5種のタンパク質のToMV増殖への関与を調べた。5種のタンパク質に対応する遺伝子(それぞれ2個あるいは3個の相同な遺伝子から構成される)についてシロイヌナズナのノックアウト変異株を入手した。これらを交配し、3個のタンパク質についてはメンバー全てがノックアウトされた多重変異株を作製した。他の2個のタンパク質については全ての遺伝子メンバーをノックアウトすると致死になったので、最も発現レベルの低いメンバーのみ野生型アリルをホモあるいはヘテロでもつ多重ノックアウト株を作製した。これらにToMVを接種したところ、いずれの株においてもToMVは野生株と同様の増殖を示した。このうちのひとつDNA/RNA-binding Alba-related proteinを試験管内翻訳反応により合成し、脱液胞化プロトプラスト抽出液を用いた試験管内植物ウイルスRNA翻訳・複製系に添加したところ、ウイルスRNAの翻訳阻害が観察された。しかし、この効果はToMV RNA特異的ではなかった。以上の結果から、解析したタンパク質はいずれもToMV RNAの複製に関与しないと考えられた。
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Research Products
(5 results)