2007 Fiscal Year Annual Research Report
抗ウイルス免疫応答における樹状細胞サブセット特異的活性化機構の解明
Project/Area Number |
19041070
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
改正 恒康 The Institute of Physical and Chemical Research, 生体防御研究チーム, チームリーダー (60224325)
|
Keywords | 樹状細胞 / Toll様受容体 / 免疫アジュバント / I型インターフェロン / 樹状細胞サブセット |
Research Abstract |
感染応答には、樹状細胞による核酸成分認識機構、特にI型インターフェロン(IFN)産生誘導機構が必須である。形質細胞様樹状細胞(PDC)と呼ばれる樹状細胞サブセットは、Toll様受容体(TLR)の中では、核酸成分を認識するTLR7, TLR9を選択的に発現しており、これらのTLR刺激によりI型IFNを産生する。このI型IFNの産生誘導には、セリンスレオニンキナーゼIKKαが必須である。IKKαは、転写因子IRF-7と会合し、リン酸化し、活性化させることにより、機能している。 PDC以外の樹状細胞(cDC)においては、TLR7/9刺激により、IFN-αは産生しないが、I型IFNとしてIFN-βは産生する。このIFN-β産生誘導機構は、PDCにおけるIFN-α産生誘導機構とは異なり、I型IFNからのシグナルには依存していなかった。cDCにおけるTLR7/9応答機構をIKKα欠損マウスにおいて解析したところ、pDCと同様に、IFN-β産生誘導に著明な障害が認められたが、炎症性サイトカインの産生誘導の障害は軽微であった。また、興味あることに、pDCと異なり、cDCにおいては、IKKα欠損でもIRF-7の活性化はほぼ正常に認められた。このことから、IRF-7以外の機能分子がIKKαの標的分子であること、そして、樹状細胞サブセットにおいて異なる制御機構が機能していることが示唆された。また、これまでにpDCにおいて必須とされている機能分子を欠損するcDCを用いて、TLR9刺激によるIFN-β産生誘導を検討したが、著明な障害は認められなかった。このことから、IKKαは、樹状細胞サブセットを問わず、TLR刺激によるI型IFN産生に必須の唯一の機能分子ではないかと考えられる。
|