2007 Fiscal Year Annual Research Report
腸管特殊上皮M細胞における新規病原体取り込み受容体の同定と細胞内輸送機構の解析
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19041072
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
長谷 耕二 The Institute of Physical and Chemical Research, 免疫系構築研究チーム, 研究員 (20359714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 博司 独立行政法人理化学研究所, 免疫系構築研究チーム, チームリーダー (50233226)
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Keywords | M細胞 / パイエル板 / GP2 / 粘膜免疫 / FAE / 大腸菌 / トランスサイトーシス / 上皮細胞 |
Research Abstract |
本研究課題は、M細胞による粘膜抗原の取り込み機構を明らかにしようとするものである。今年度はM細胞特異的に発現するGlycoprotein2(GP2)の細胞内局在及び分子機能に関する解析を行った。定量PCR及びin situ hybridizationの結果、GP mRNAは腸管上皮系細胞では、パイエル板のM細胞特異的に発現することを確認した。そこで、GP2特異的なモノクローナル抗体を作成し、パイエル板の免疫組織染色を行ったところ、GP2はM細胞の管腔側細胞膜に限局して発現していた。免疫電子顕微鏡法においても同様の結果が得られた。腸管ループアッセイ法にて、GP2に特異的抗体を結合させるとM細胞内へ取り込まれることから、GP2はエンドサイトーシス受容体として機能することが分かった。そこでin vitro結合試験系を用いて種々のリガンドスクリーニングを実施した結果、GP2が大腸菌やサルモネラ菌など一部のグラム陰性菌に対し結合能を示すことを明らかにした。I型繊毛を欠損した大腸菌変異株ではGP2との結合が認められなかったことから、GP2は菌体表面のI型繊毛を特異的に認識していると考えられる。GP2欠損マウスではM細胞への大腸菌取り込みは大幅に減少するため、GP2はM細胞の腸内細菌取り込みにおいて主要な役割を果たしていると予想される。今後は更にサルモネラ菌などを用いて、病原菌侵入におけるGP2依存的トランスシトーシス経路の役割について検討を行う予定である。
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