2007 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス性脳炎発症機構に関する新しい概念-宿主の防御戦略とウイルスの生存戦略
Project/Area Number |
19041076
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
小池 智 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (30195630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早坂 大輔 財団法人東京都医学研究機構, 研究員 (10346926)
岩崎 琢也 財団法人東京都医学研究機構, 研究員 (90146027)
山下 康子 財団法人東京都医学研究機構, 研究員 (80446559)
安部 優子 財団法人東京都医学研究機構, 研究員 (80398156)
永田 典代 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官 (30270648)
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Keywords | ウイルス / 脳・神経 / トロピズム / インターフェロン |
Research Abstract |
ポリオウイルスが急性脳炎・脊髄炎を引き起こすのはウイルスが感染した細胞や組織によってIFN応答性が異なっていることが原因の一つである。ポリオウイルス感染後神経系組織のIFN応答は鈍く,非神経系組織の応答は素早く,強い。最近の知見によってIFN産生に至るウイルスRNAの検知は細胞内RNAセンサーであるRIG-I,MDA5や細胞外もしくはエンドソーム内RNAセンサーであるToll-like receptor(TLR)-3,TLR-7によってなされており,これらのセンサーは特定の細胞で機能する防御戦略がとられていることが示されている。したがってポリオウイルス感染時に細胞・組織によってIFN応答性が異なる理由の一つに様々な場面において異なったセンサーを持っている細胞にウイルスが感染していることが考えられた。そこで我々はポリオウイルス感染時にどのようなセンサーが関与しているかをノックアウトマウスを用いて調べた。ポリオウイルスレセプタートランスジェニックマウスとRIG-I KO,MDA5 KOマウスを交配した。これらのマウスの肝臓ならびに腎臓初代培養細胞においてMDA5がIFN産生に必須であることが判明した。ところがマウス個体においてはMDA5 KOマウスにおいてもウイルス感染後にIFN応答がみられ,マウスの生存も野生型と比較して大きく変化がないことが判明した。したがってポリオウイルス感染時にはMDA5以外によるウイルス検知機構も重要な役割を果たしていると考えられる。
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Research Products
(5 results)