2008 Fiscal Year Annual Research Report
免疫系の攪乱によるC型肝炎ウイルスの持続感染化及び発症機序の解析とその制御
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19041077
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
小原 道法 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都臨床医学総合研究所, 参事研究員 (10250218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 文彦 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (40399473)
関口 敏 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (10462780)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 持続感染 / 自然免疫 / 獲得免疫 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
C型肝炎は日本で200万人に及び患者がおり、感染後、高率に持続感染化し、慢性肝炎を発症する。唯一の有効な抗HCV薬とされているインターフェロンは、30-40%程度の患者にしか治療効果が認められず、より安全で効果的な治療法の開発が急務となっている。我々は哺乳動物細胞において複製可能な弱毒ワクチニアウイルス「LC16m 8株」を母体としたHCV遺伝子組換えワクチニアウイルス(HCV-RVV)株を樹立し、治療ワクチンとしての効果を検討した。 Cre/loxPシステムでHCV遺伝子を導入したトランスジェニック(Cre/loxP/HCV-Tg)マウスと、IFN誘導性のCreを発現するTgマウスを交配させ、任意の時期にHCV遺伝子をスイッチング発現するTgマウス(Cre/loxP/HCV-MxCre Tg)を作製し、その病態解析を行った。HCV-RVVはHCVの構造蛋白質を主に発現するCN2、非構造蛋白質を発現するN25、全蛋白質を発現するCN5を用いた。これらHCV-RVVの治療効果を評価するために、HCV蛋白を持続的に発現した状態のCre/loxP/HCV-MxCre Tgマウスに単回皮内接種し、接種後1週および4週のマウス肝臓におけるHCV蛋白の発現量と形態学的検索を行った。 Cre/loxP/HCV-MxCre Tgマウスの肝臓におけるHCV蛋白は完全に排除されることなく、1年以上の持続的な発現が確認され、肝臓における炎症や脂肪変性、線維化等の慢性肝炎の病態を示した。Cre/loxP/HCV-MxCre Tgマウスは正常な免疫応答下で持続的にHCV蛋白を発現させることができ、慢性肝炎を発症させることができるHCV持続感染モデルとして非常に有用であり、HCVの持続感染化と宿主の免疫応答の関係を解析することを可能にした。さらに、HCV-RVV接種によりマウス肝臓におけるHCV蛋白の減少及び慢性肝炎症状の正常化が認められたことから、HCVの排除及び肝炎抑制を目指した治療ワクチンの開発が期待される。
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