2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトヘルペスウイルス6エンベロープ糖タンパク質の機能解析による感染機構解明
Project/Area Number |
19041080
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森 康子 Kobe University, 大学院・医学研究科, 教授 (50343257)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 糖タンパク質 / 粒子出芽 / 膜輸送 |
Research Abstract |
ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)は、βヘルペスウイルスであり、T細胞において感染増殖することができる。HHV-6は、塩基配列、抗原性、細胞向性などの違いから二つのバリアント, HHV-6AおよびHHV-6Bに分けられている。HHV-6Bは突発性発疹の原因ウイルスである。今回、我々はHHV-6Aを用いて下記の事象を明らかにした。 1. 電子顕微鏡的観察により、HHV-6はT細胞に感染することによって細胞のバルーニングを誘導し、感染細胞内に多数のmultivesicular body(MVB)を形成した。MVB形成は、非感染細胞においては認められなかった。 2. 感染細胞で形成されたMVB内には多数の小胞に加え、多数の成熟ウイルス粒子が認められた。さらに、成熟ウイルス粒子上には、MVBのマーカーであるCD63が検出された。 3. MVB内の小胞にはウイルスエンベロープ糖タンパク質であるgBおよびgMが検出された。 4. 未熟ウイルス粒子が、TGNおよびendosomeの性質をもった小胞膜に出芽する像が観察された。 5. MVB膜と細胞形質膜が融合し、MVB内の小胞およびウイルス粒子が細胞外へ放出される像が観察された。 以上によりHHV-6は、TGNおよびendosomeの性質をもった小胞膜に出芽することにより、成熟ウイルス粒子となること、そしてその小胞膜は次第にMVBへと変化し、最終的には、MVBの膜とに質膜が融合することによってウイルスは細胞外へ放出されることが明らかになった。 また、我々は、HHV-6感染において宿主の細胞膜に存在するコレステロールがウイルス感染に必須であることを明らかにした。つまり、膜上のコレステロールは、ウイルスが宿主細胞へ侵入する際のウイルスエンベロープと細胞膜の融合過程に特に重要であることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)