2007 Fiscal Year Annual Research Report
完全定量1分子共鳴エネルギー移動測定によるタンパク質構造動態解析法の確立
Project/Area Number |
19042001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
永井 健治 Hokkaido University, 電子科学研究所, 教授 (20311350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 知己 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (80332378)
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Keywords | FRET / 1分子 / 顕微鏡 / 可視化 |
Research Abstract |
FRETの定量測定の為にはドナーとアクセプターからの蛍光を同時に取得する必要があるため、分割観察光学系を組み込んだ光学系を組み立てた。蛍光分子の双極子モーメントの検出はデフォーカス像が分子の遷移双極子モーメントの向きを反映した方向性を持っていることを利用して検出を行う事を試みた。実際に、対象となる蛍光分子を焦点面から1ミクロン程度ずらして観察すると、モーメントの向きが光軸から90度の場合は、極めて簡単に検出できた。さらに、光軸からのずれ角が変化する場合、デフォーカス像の形は刻々と変化し、光軸と平行な遷移双極子モーメントを持つ分子のデフォーカス像と90度直交する分子の像は簡単に判別できた。但し、これはフレームレートよりも充分長い時間ガラス基板上に滞在した分子に関しては観察が可能であったが、ブラウン運動下の分子については全く観察できなかった。そこで、蛍光強度のより大きな分子を使用することで、時間分解能を上げることが可能になると考え、緑色蛍光タンパク質(GFP)を双極子モーメントを一致させたまま複数連結する方法を考案し、完成させた。通常2つのGFPをタンデムに連結すると双方の双極子モーメントが一致しないため、蛍光強度は単純に2倍とはならない。しかしながら、今回開発したクラスターGFPは、2つ連結したものでは2倍以上の蛍光強度の増加が見られた。これは双極子モーメントの一致のみならず、分子量の増加に伴い回転緩和時間が大きくなり、ある偏光方向の光による励起時間が実質上長くなったためであると推測された。今後、クラスターGFPを組み込んだカルモジュリンベースのカルシウムセンサーを作成し、カルシウムの有無における1分子デフォーカス像を観察する。
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