2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子シミュレーションで探るABCトランスポーターの膜輸送動力発生機構
Project/Area Number |
19042005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
城地 保昌 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 助教 (30360415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北尾 彰朗 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (30252422)
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Keywords | 生物物理 / ABC蛋白質 / 立体構造ダイナミクス / 分子シミュレーション / エネルギー地形 |
Research Abstract |
本研究は、原子レベルの分子動力学計算を用いてABC蛋白質MalKのエネルギー地形を解析し、その動力発生機構を物理化学的に解明することを目的とする。ABC蛋白質MalKは、ATPの結合・加水分解に伴い立体構造変化することでABCトランスポーターの膜輸送動力を担っている。蛋白質の効率的機能を理解するには、蛋白質のダイナミクスを規定するエネルギー地形を的確に捉えることが不可欠である。 本年度は、MalKの基質フリー(open)状態、ATP結合(closed)状態の長時間分子動力学計算をおこない、主成分解析の手法を用いてMalKの大振幅運動方向でのエネルギー地形を観察した。その結果、MalKは基質フリー状態で、(i)ATP結合構造方向への揺らぎ成分を持っていること、(ii)その揺らぎが100ナノ秒を超えるかなり遅い時間スケールの運動であること、(iii)ATP結合状態が基質フリー状態に比べてかなり安定であること、等が明らかになった。このような遅い揺らぎを通常の分子動力学計算でシミュレートするのには限界があるため、アンブレラサンプリングによるエネルギー地形解析を併用することが有効である。そこで、アンブレラサンプリングを用いて効率的に自由エネルギー解析を実行する新手法の開発をおこなった。
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