2007 Fiscal Year Annual Research Report
ATP合成酵素の全体構造解析を突破口とした分子機構の解明
Project/Area Number |
19042006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三留 規誉 Tokyo Institute of Technology, 資源化学研究所, 特別研究員 (90431981)
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Keywords | ATP合成酵素 / 構造解析 / 分子モーター |
Research Abstract |
ATP合成酵素は、プロトンの流れによってシャフトのサブユニットの回転を引き起こし、ATPを合成する回転分子モーターである。その仕組みの分子的理解にとってATP合成酵素の全体構造の解明は不可欠である。しかし、この結晶構造解析は、この15年あらゆる挑戦をしりぞけてきた。その困難の理由は、この酵素が分子モーターであること自体に由来すると考えられる。つまり、シャフトサブユニット(回転子)がいろいろな方向に向いた混合物となるからである。本年度は、回転子が一つの決まった方向を向いな均一のATP合成酵素を調製した。 本年度はまず、回転子の10個のCサブユニットと固定子のaサブユニット(c10-a)、εサブユニットとγサブユニット(ε-γ)をそれぞれ1本のポリペプチドとして架橋したF_oF_1内で、c10-aとε-γをジスルフィド結合で固定することを試みた。c10-a中の1つのcのGln37とε-γ中のεGlu31をCys残基に置換したF_oF_1を作製した。システインを導入するcは10通りあるので、10種類の(c10-aXε-γ)F_oF_1-No.1-10を作製した。酸化条件でF_oF_1をNi-NTAカラムで精製すると、得られた精製酵素のc10-aとε-γ間のクロスリンク形成率はいずれも60%程度であった。よって、この方法では回転子の向きを完全に均一にすることはできなかった。 回転子の向きを完全に均一にするために、c10、a、εとγをすべて1本のポリペプチドとして架橋したF_oF_1を作製した。この(c10-a-ε-γ)F_oF_1は、発現量は低いものの、F_oF_1の複合体として発現し、精製できることがわかった。この(c10-a-ε-γ)F_oF_1は回転子の向きを均一にするので、結晶化の標品として大いに期待ができる。この(c10-a-ε-γ)F_oF_1結晶を得るべぐ、様々な界面活性剤を用いて結晶化を行っている。
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Research Products
(1 results)