2008 Fiscal Year Annual Research Report
ATP合成酵素の全体構造解析を突破口とした分子機構の解明
Project/Area Number |
19042006
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三留 規誉 Tokyo Institute of Technology, 資源化学研究所, 資源化学研究所特別研究員 (90431981)
|
Keywords | ATP合成酵素 / 構造解析 / 分子モーター |
Research Abstract |
結晶化のためには、適切な界面活性剤を用いて分子を単分散に可溶化することが必要である。また、ATP合成酵素の場合、単分散性の問題の他に、界面活性剤がサブユニットの解離を促すという問題がある。本年度では、ATP合成酵素の結晶化に適した界面活性剤を検討した。検討に用いた界面活性剤は、膜蛋白質の構造解析で複数の成功例が報告されている界面活性剤を選択した。マルトシド系7種、グルコシド系2種、スクロース系1種(sucrose monodecanoate)、アルキルオキシエチレン6種、アルキルジメチルアミンオキサイド1種(LDAO)、その他2種の合計19種類を用いた。大腸菌内で好熱菌Bacillus PS3のATP合成酵素を発現させ、その膜画分を調製した。膜画分からATP合成酵素を各種界面活性剤で可溶化し、それを超遠心した後の上清から、Ni-NTAクロマトグラフィーによりβサブユニットのHis-tagを介してATP合成酵素を精製した。可溶化率と精製効率および得られた複合体の安定性を検討するため、超遠心後の上清と沈殿およびNi-NTAクロマトグラフィーの素通りと溶出画分をSDS-PAGEにより分析した。複合体の単分散性を調べるため、精製して得られたATP合成酵素を界面活性剤存在下のゲルクロマトグラフィーで分析した。Ni-NTA精製で得られたATP合成酵素が機能を保持していることを確かめるために、それらのATP合成酵素をリボソームに再構成し、ATPase活性およびそのDCCD阻害、ATP駆動のプロトン輸送活性を分析した。その結果、ドデシルマルトシドなどのマルトシド系の界面活性剤とsucrose monodecanoateでATP合成酵素は高い可溶化率で機能を保持した安定な複合体を単分散した状態で得ることができることがわかった。これらの界面活性剤を用いて、ATP合成酵素やその変異体の結晶化を行っている。
|
Research Products
(2 results)