2007 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアべん毛モーターの無細胞系回転実験と試験管内再構成
Project/Area Number |
19042010
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
薬師 寿治 Shinshu University, 農学部, 准教授 (30324388)
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Keywords | 細菌 / 生体エネルギー変換 / ナノマシン / 分子モーター / 生体超分子構造 / べん毛モーター / 走性 / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
バクテリアのべん毛モーターは,細胞内へのイオン流入をエネルギー源として回転するナノメートルサイズの分子モーターである。本研究課題は,30年以上の問題であったべん毛モーターの試験管内再構成を目指した挑戦的な研究課題である。本研究が提案する研究手法は古典的な生化学であり,そのために従来のモデル生物を見直すことからはじめる。ゲノム情報が入手可能なバクテリアを選んだ。Bacillus属は外膜をもたないため,べん毛構造も比較的簡素になるので,より解析しやすい材料であると期待できる。同時に,タンパク質の安定性向上を期待して,これまでべん毛モーターの研究があまり行われなかった耐熱性,耐酸性,耐アルカリ性といった特徴を持つバクテリアにも注目した。 本研究では,枯草菌Bacillus subtilis168株,生育環境が特徴的な菌として,好アルカリ性菌Bacillus haloduransC-125株,好熱性菌Geobacillus kaustophilus HTA426株,耐酸性の酢酸菌Gluconobacter oxydans 621H株を主に使用し,遊泳能の検討を行った。種々の培養条件を検討した結果,程度に差はあるものの全ての菌株において遊泳を確認した。その上で,枯草菌と好アルカリ性菌を用いてプロトプラスト調製,プロトプラスト化に伴う遊泳能の変化,べん毛の観察を行った。1〜1.5時間かけてプロトプラスト化する条件を見出だし,詳細にプロトプラスト化と遊泳能の推移を観察した結果,プロトプラスト化の進行に伴って,遊泳能を失うことが分かった。このとき,べん毛も観察されなかった。細胞壁を消化することによって,べん毛が抜け落ちやすくなった可能性があるので,プロトプラスト化の条件や使用する菌株を検討する必要がある。また,べん毛モーターの回転に関与するmot遺伝子に着目しクローニングを行った。研究遂行上必要な備品も揃え,次年度に向けた基盤を整えることができた。
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