2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19042011
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
寺内 一姫 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 研究員 (70444370)
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Keywords | 生物時計 / シアノバクテリア / 生化学 / ナノバイオ / ATP加水分解酵素 / 周期 |
Research Abstract |
生物は生物時計とよばれる生命システムを細胞内にもち、昼夜の環境変動に備えている。生物時計の周期がどのようにして安定的に24時間に維持されているのかは長らく謎であった。シアノバクテリアの3つのタンパク質KaiA、KaiB、KaiCとATPによる試験管内で24時間周期を生み出す生物時計再構成系は、時間を計測するというメカニズムがタンパク質に組み込まれていることを明らかにした。その中心振動子であるKaiCのATPase活性は生物時計の周期(24時間)を規定する化学反応である。本研究はKaiCの生化学的解析により、エネルギーを時間に変換するATPaseの分子メカニズム解明を目的とする。KaiCのATPase活性は温度が変化してもほとんど変化しないという極めて特異な性質を保持している。KaiCは通常の生化学的な反応にみられる温度依存性を失い、生物時計の最も重要な性質のひとつである温度補償性を保持している。このような性質を持ち合わせているタンパク質は、KaiC以外に見つかっていない。今回、さらに広い温度範囲におけるKaiCのATPase活性変動を調べたところ、より広い範囲においても温度補償性を持つことが明らかになった。また、そのATPase活性はKaiAによって促進、KaiBにより抑制され、それら各々の効果は温度依存的であった。生物時計再構成系においては、KaiAによる促進効果とKaiBによる抑制効果の温度依存性が拮抗し、KaiCのATPase活性の温度補償性が成立している。さらに、ATPase活性の温度補償性を失ったKaiC変異タンパク質を発見し生化学的に解析した。この変異型KaiCは、KaiA存在下で温度が10℃上昇すると活性が2倍強に増加するという一般的な酵素反応と同様の挙動を示した。
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Research Products
(6 results)