2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19042011
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
寺内 一姫 Ritsumeikan University, 生命科学部, 准教授 (70444370)
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Keywords | 生物時計 / シアノバクテリア / 生化学 / 周期 |
Research Abstract |
ATPとKaiA, KaiB, KaiCの3つのタンパク質による、概日振動する時計の再構成が成功した。この試験管内の時計は時間計測というメカニズムがタンパク質に組み込まれていることを示している。この再構成系を用いて、研究代表者はKaiCのATPase活性が生物時計の周期を規定する化学反応であり,ATPの加水分解エネルギーは時計を駆動するために使われていることを明らかにした。KaiCのATPase活性は、in vitroでKaiA及びKaiB存在下において24時間周期で変動する。本研究はナノスケールの分子タイマーというべきKaicタンパク質を生化学的に解析し、エネルギーを時間に変換するATPaseの分子メカニズム解明を目的とする。 KaiCのATPase活性は温度が変化してもほとんど変化しないという極めて特異な性質を保持している。KaiCは通常の生化学的反応にみられる温度依存性を失い、生物時計の最も重要な性質である温度補償性を保持している。この性質に着目し、KaiCのATPase活性の温度補償性を失った変異タンパク質を見出し、その生化学的性質を解析した。この変異タンパク質は、KaiA存在下で温度が10℃上昇すると活性が2倍強に上昇し、一般的な酵素反応と同様の挙動を示す。また、このKaic変異タンパク質の詳細な温度依存性を解析したところ、25℃付近が至適温度であり、それ以上の高温下では活性が顕著に減少した。さらにKaiA濃度依存性、基質濃度依存性を解析し、この変異体は野生型KaiCとはATPaseの性質が大きく異なっていることが明らかとなった。この変異体の解析をさらに進めることでKaiCのATPaseの分子メカニズムの一端が明らかになることが期待される。本研究においては、ATPaseの分析に不可欠な試薬が年度途中に世界的に入手困難となり、平成21年度に研究の一部を繰り越した。
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Research Products
(5 results)