2007 Fiscal Year Annual Research Report
高濃度の蛍光ATPを用いた1分子ATP加水分解イメージング
Project/Area Number |
19042015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西川 宗 Osaka University, 生命機能研究科, 助教 (60402997)
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Keywords | ミオシン / ATP 合成 / 1 分子 |
Research Abstract |
申請者が提案する「量子ドット(QD)と蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を組み合わせた1分子イメージング手法」は、観察蛍光分子の濃度を従来の200倍まで引き上げる可能性がある。研究の最終目標は、高濃度Cy3-ATPによるミオシンVのATP加水分解反応の可視化である。研究開始当初、ミオシンVの運動活性を維持しつつCy3-ATPへの高効率のFRETを実現するQDの標識方法がなかったため、19年度はQDの標識方法の探索に専念した。 まずビオチン・アビジン反応を利用した最も汎用性の高い結合方法を試験した。Halo-tagシステムによりN末端をビオチン標識したミオシンVとアビジン標識された市販のQDを結合したところ、運動法性は維持されていたがCy3-ATPとのFRETは観察できなかった。そこでドナーアクセプター間距離を可能な限り短縮できる結合方法に方針転換した。まずQD結合部位をATP結合部位に近づけるためのシステイン変異体を作成した。さらに市販のQD表面の親水性ポリマーコートがFRET効率を低下させていることがわかったので、QD結合部位と親水性部位を持っ短鎖ペプチドコートに置換した。最後に、ペプチドコートQDのアミノ基とシステイン変異体のチオール基をクロスリンカー(Maleimide-PEO2-NHS)により結合し、高いFRET効率を実現することが可能になった。しかし、不安定な蛍光強度とブリンキングという不本意な性質を呈したため、現在はこれら問題点の解決にむけてQDの合成技術を有する産業技術総合研究所と共同で新しいQDとそのコーティング手法の開発に取り組んでいる。
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