2007 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴による藍色細菌時計蛋白質の相互作用とダイナミクスの研究
Project/Area Number |
19042016
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池上 貴久 Osaka University, 蛋白質研究所, 准教授 (20283939)
|
Keywords | 生物時計 / 核磁気共鳴 / 藍色細菌 |
Research Abstract |
研究の目的 近年、生物時計をもつ唯一の原核生物である藍色細菌において、時計に関する蛋白質KaiA,KaiB,KaiCの結晶構造が決定された。興味深いことに、よく知られている遺伝子調節の関与なしに、これらの蛋白質とATPのみで24時間のリズムがin vitroで生じる。本研究の目的は、24時間周期の鍵となるこれら3種類の蛋白質どうしの相互作用を核磁気共鳴(NMR)を用いて直接に原子レベルでリアルタイム観測し、時計発振の基本的メカニズムを解明することである。 KaiA, KaiB, KaiCの調製 ^2H/^<15>N/^<13>Cで標識したKaiBを調製し、3次元のNMR測定を通して主鎖核の共鳴値ほとんど全てを帰属することに成功した。また、KaiAとKaicについても大腸菌の大量培養で発現させ、多量体の安定な状態での調製を達成できた。 NMRでのKaiA, KaiB, KaiC複合体の検出 KaiA, [^2H,^<15>N]-KaiB, KaiCとATPを混合し、2時間おきに二次元CRIPTスペクトルを測定した。さらに、メチル基のみを^13C/^1Hで、残りの核を^<12>C/^2Hで特異的に標識したKaiBを調製し、二次元TROSYスペクトルを測定することに成功した。これにより、上記のCRIPTによるアミド基の観測よりもさらに高分子量の複合体の測定が可能となった。 KaiBとKaiAあるいはKaiCとの相互作用の解析 上記のように調製した3種類の蛋白質を試験管内で混合し、その結果、KaiCのリン酸化状態が24時間の周期を持つことが確認できた。現在、NMRでの周期の検出に取り組んでいるところである。現在の問題点は、NMRの検出に必要な高濃度状態では複合体の状態が不安定になることである。これを克服するために、さらに低濃度でも検出できる方法を同時に開発している。
|