2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂質二重膜にある蛋白質ナノ複合体の固体NMRによる原子分解能構造解析
Project/Area Number |
19042017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 敏道 Osaka University, 蛋白質研究所, 教授 (20242381)
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Keywords | 生物物理 / 蛋白質 / 原子・分子物理 / ナノバイオロジー / 生体分子 |
Research Abstract |
これまでの研究成果を発展させて、250残基程度の膜蛋白質の構造決定できる方法を確立する。具体的には、同位体標識法、脂質二重膜への再構成法が確立しているATP合成酵素サブユニットc及びハロロドプシンを対象にした。膜貫通している疎水領域と膜外にある親水領域は運動性の違いから、分別してスペクトルを単純化して測定した。また、さらに単純化するためにアミノ酸選択的同位体標識も行った。これらの新しい方法と蛋白質内の核間距離測定法と蛋白質と脂質分子間の距離測定法を組み合わせて、二重膜にある膜蛋白質の構造決定を行った。 一連の立体構造情報を取得して、また、データ解析による構造決定として次のことを行った。化学シフトから得た二面角と距離相関から得た情報を組み合わせて構造決定を行った。距離相関の帰属は、スペクトル分解能の制約から容易ではない。しかい、部分的に行ったように、距離相関のスピン対への帰属と構造決定を同時に行う方法で、構造を収束させながら、その構造情報も利用して距離相関情報のスピン対への帰属を行った。蛋白質の構造をほぼ決めた後に、リン脂質二重膜や水層の水との相対的位置関係を決める。また、このことからハロロドプシンのオリゴマー構造やサブユニットcのリング状の構造を決定する。サブユニットcについては、F0リング回転機構について提案されているモデル、グルタミン酸の電荷による構造変化、側鎖構造の変化などを構造から検証した。ハロロドプシンについては、脂質二重膜内におけるオリゴマー状態を初めて構造決定することにより、その光異性化によるポンプとしての機能を解明した。
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