2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子シミュレーションによる、DNA組換えをおこすモーター蛋白質の分子機構解明
Project/Area Number |
19042021
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
石田 恒 Japan Atomic Energy Agency, 独立行政法人・日本原子力研究開発機構量子ビーム応用研究部門, 研究職 (60360418)
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Keywords | モーター蛋白質 / 分子動力学法 / DNA組換え / ホリデイ構造 / RuvAB |
Research Abstract |
DNAの組換えは生物にとって、ゲノムの複製や安定性を保つための普遍的なメカニズムである。そのなかで、モーター蛋白質RuvBは、DNA組換えを引き起こす蛋白質のひとつである。現在、モーター蛋白質の立体構造がX線結晶解析によって数多く解かれつつある。しかしながらモーター蛋白質が機能する際には、静的な立体構造における相互作用のみならずモーター蛋白質の動的なメカニズムが重要な役割を果たしている。本研究では、DNA組換えを引き起こすモーター蛋白質RuvBの動的メカニズムを分子動力学シミュレーションを用いて原子レベルで解明することを目指す。 本年度は、初めにRuvA8量体-2RuvB6量体-ホリデイ分岐DNA複合体のモデル構造を作成した。複合体構造はX線結晶解析では解かれていないため、部分的に解かれている部分構造(RuvA、RuvB、ホリデイ分岐DNA)を組み合わせて複合体の初期モデル構造を作成した。モデル化された系の原子数は水分子を含めると約50万個となった。 この大規模系の分子動力学シミュレーションを数5ナノ秒間実行した。RuvB6量体ではATPを加水分解しながら分岐点を移動させると考えられている。そこで、RuvBのATP結合型、ADP結合型、フリー型ついてRuvBとDNAとの相互作用を解析したところ、それぞれのRuvBについてはDNAの相互作用部位が異なることが示唆された。この相互作用の違いが、DNAを動かすために必要であると推定される。
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