2007 Fiscal Year Annual Research Report
生殖器官形成における細胞壁構築関連遺伝子群の機能解析
Project/Area Number |
19043003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 隆亮 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 講師 (90302083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西谷 和彦 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (60164555)
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Keywords | 細胞壁 / 生殖機能 / 遺伝子ファミリー / キシログルカン / 雄蕊 |
Research Abstract |
植物細胞壁の基本構造の構築や再編に関わるキシログルカン転移酵素/加水分解酵素(XTH)遺伝子ファミリーのうち、花器官において重要な役割を担うと考えられていたXTH28遺伝子の発現や機能解析を中心に研究を進めた。in situハイブリダイゼーション法及びプロモーターGUS形質転換体を用いた解析により、XTH28遺伝子は、花の発生プロセスに依存して雄蕊で発現していることが明らかになった。XTH28遺伝子は、雄蕊形成の初期段階では花糸全体で発現しているが、花糸伸長後は、花糸基部、花糸上部の維管束、葯と花糸の境界部位などの限定された細胞で発現していることが確認された。またXTH28遺伝子が欠損した突然変異体を用いて、花の器官形成や生殖過程におけるXTH28の機能解明を試みた。xth28突然変異体では、組織の欠損などの表現型は見られなかったが、生殖成長へ移行直後の花(1-5番目の花)において著しく稔性が低下していることが明らかになった。この稔性の低下の原因を詳細に解析したところ、雄蕊成長の遅延などによって、葯と柱頭が接するタイミングを失い、自家受粉の効率が低下していることが明らかになった。 また本年度は、植物の2次細胞壁形成に関わる細胞壁関連遺伝子群の包括的な発現解析により、雄蕊の形成に関わると考えられる細胞壁関連遺伝子群(セルロース合成酵素遺伝子、リグニン関連遺伝子等)を同定した。これらの遺伝子の雄蕊における発現を解析したところ、発生プロセスに依存した発現様式を示したが、XTH28遺伝子とは異なる発現プロファイルであった。今後は、これらの遺伝子の突然変異体を用いて、生殖機能への影響を解析して、雄蕊形成における2次細胞壁関連遺伝子の機能解明を目指す。
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