2007 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の胚発生維持・栄養成長相への転換を制御するクロマチンリモデリング機構
Project/Area Number |
19043007
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鎌田 博 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (00169608)
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Keywords | 高等植物 / 胚発生維持 / 栄養成長相転換 / ピストン修飾 / クロマチンリモデリング / シロイヌナズナ / 発芽後成長阻害 / 胚様体形成 |
Research Abstract |
シロイヌチズナの種子発芽時にヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の活性阻害剤(TSA)で処理すると、発芽後の実生において、発芽後成長(子葉の展開と緑化)の抑制が見られる。そこで、この現象に関与するHDACを同定するため、シロイヌナズナゲノム中に存在する18種のHDACの発現抑制体の反応を調べたところ、HDA6とHDA19の二重発現抑制体(HDA6/HDA19RNAi)では、野生型種子をHDAC阻害剤で処理した時と同様、吸水後約12時間程度で発芽後成長の抑制が起こり、その後ゆっくりと成長する子葉上に胚様組織(不定胚)が形成された。さらに、HDAC複合体構成因子の一つと考えられているPICKLEの欠損変異体(pk1)とHDA6RNAiの二重変異体では、発芽後成長の抑制や胚様組織形成の頻度が極めて高くなった。また、このような二重変異体では、発芽後成長が抑制されている実生において胚発生特異的な転写制御因子群が異所的に高発現していたことから、胚発生から栄養成長相べの移行においては、HDA6/HPA19とPICKLEを含む複合体が胚発生としての遺伝子発現プログラムを吸氷後約12時間後に抑制することで、栄養成長相へとスムーズに移行させていることが示唆された。一方、ヒストンメチル基転移酵素の候補であるCURLY LEAF(CLF)とSWINGER(SWN)の二重欠損変異体(clf swn)で見られる発芽後成長の抑制、胚様組緻形成、ぐ胚発生特異的転写制御因子群の異所的高発現等の表現型は、低温下での培養によって正常な表現型に復帰し、ゆっくりとではあるが子葉が展開し、茎頂部に花芽様の組織が形成ざれた。また、clf swnで見られる発芽後成長の抑制は子葉展開時に決定されることやその過程にはオーキシンが関与すること等が明らかとなった。
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