2007 Fiscal Year Annual Research Report
異質倍数化による適応放散:ゲノム障壁の打破がもたらす植物多様化の過程
Project/Area Number |
19043010
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
工藤 洋 Kobe University, 理学研究科, 准教授 (10291569)
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Keywords | 異質倍数体 / 適応放散 / アプナラ科 / タネツケバナ属 / シロイヌナズナ属 |
Research Abstract |
タネツケバナ属の種分化を解析するため、2つ目の核遺伝子としてAP3遺伝子を解析した。すでに得ていたCHS遺伝子の結果と基本的に一致したことから、倍数化の繰り返しによって新たに環境に進出を繰り返したことが、非常に強く指示された。倍数体レベルのうち、単純なケースとして4倍体を対象とし、異質4倍体種と両親種2種(乾燥地の一年草種と湿地の多年草種)の3種1組を対象とした比較栽培試験を開始した。この実験は現在も継続中である。今後、研究協力者であるスイス・チューリッヒ大学清水健太郎博士との共同研究で、それぞれの環境下での遺伝子発現プロファイルを比較する予定である。 また、日本産タネツケバナ・シロイヌナズナ属4倍体種の起源地であると推定されるカムチャッカにおいて野外調査を行った。カムチャッカ半島を含めてミヤマハタザオの分布域全域からサンプルに)ついて複数の核遺伝子を解析した。この結果、ミヤマハタザオが異質倍数体であること、さらに倍数化が複数回起源したことが強く示唆された。さらに、毛の有無などの表現型進化を司る遺伝子を用いて、倍数体種における頻繁な平行進化についての解析をすすめている。 さらに、シロイヌナズナにおいて自家和合性の進化の研究をすすめている。これまでに、アフリカのシロイヌナズナのS-遺伝子座について、雌遺伝子SRKが偽遺伝子となっていることを報告していた。本年度、機能的と思われる新規のSP11/SCR遺伝子を単離した。一方、ヨーロッパでは、雄のpseudoSCR1偽遺伝子とその二次的な欠失アリルが、自然選択によって広まったことを示した。
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