2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患発症における一酸化窒素による小胞体膜存在ユビキチンリガーゼの機能変化
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19044002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上原 孝 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 准教授 (00261321)
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Keywords | 小胞体 / 蛋白質品質管理 / ユビキチンリガーゼ / ユビキチン化 / プロテアソーム / 一酸化窒素 / 神経変性疾患 / 細胞死 |
Research Abstract |
私たちはこれまでにバイオインフォーマティックスによってヒトゲノムライブラリーから新規小胞体 膜存在ユビキチンリガーゼを網羅的に単離することに成功してきた.また,小胞体における蛋白質品質管理系にユビキチンプロテアソームが関わっていること,とくにE3リガーゼであるパーキンが小胞体膜蛋白質を基質としていることが報告されてきた.このパーキンが一酸化窒素によって酸化されることで機能が変化し,変性基質蛋白質の蓄積をもたらすことでドパミン神経細胞死/パーキンソン病を発症する可能性を明らかにしてきた.そこで本年度は,新規小胞体膜存在E3リガーゼのうち,LOCと名付けた分子の解析を行った.LOCは小胞体ストレスによって速やかに誘導され,免疫染色から小胞体に局在していることを見いだした.ストレス時にLOCが発現誘導されることから特異的な基質の存在が予想された.そこで,酵母2-ハイブリッド法を駆使して相互作用する蛋白質の単離を試みた.スクリーニングの結果,候補蛋白質として分子量約15 kDaのSNAPAPが単離された.つぎに,SNAPAPがLOCと結合するか否かを免疫沈降法から調べたところ,LOCの触媒ドメインと細胞内で結合することがわかった.この時点で,全長のLOCを動物細胞に発現させることが非常に困難であることがわかり,したがって,LOCは膜貫通領域が多く高次構造を保つことが非常に難しい蛋白質であることが示唆された.そこで,定常状態でもわずかながら発現が認められているヒト神経芽細胞腫SH-SY5Yを使用して,SNAPAPがLOCによってユビキチン化されるか否か検討した.その結果,SNAPAPは確かにSH-SY5Y細胞においてユビキチン化されていた.しかしながら,LOC以外のE3によって認識されている可能性も現時点では否定出来ず,今後siRNAを処理した細胞を用いて検討することが必要である.
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Research Products
(4 results)