2007 Fiscal Year Annual Research Report
発生におけるタンパク質分解制御機構とその意義の解明
Project/Area Number |
19044004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中山 啓子 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (60294972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 典子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10361073)
原 賢太郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, COEフェロー (60400248)
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Keywords | ユビキチン / ノックアウトマウス / β-TrCP2 / Tcf-LacZトランスジェニックマウス / β-catenin |
Research Abstract |
タンパク質の発現量調節が個体の発生の関係を明らかとすることが本研究の目標である。F-boxタンパク質β-TrCP2/Fbw1b(以下β-TrCP2)の機能解析を行い、個体の発生・分化における役割を検討した。β-TrCP/Fbw1(以下β-TrCP)はβ-cateninやIκBαなどをユビキチン化するユビキチンリガーゼてある。しかしながら、われわれが作製したβ-TrCP1ノックアウトマウスでは、β-cateninや1κBαの分解がなお観察されることから、β-cateninやIκBαの分解を担うユビキチンリガーゼはβ-TrCP1のみではなく、またβ-TrCP1の生理的基質は他の分子である可能性が残された。一方β-TrCP1の相同分子であるβ-TrCP2のノックアウトマウスは、胎生9.5日に胎生致死である。このことはβ-TrCP1とβ-TrCP2の間に生化学的に差違は認められていないにも関わらず、生物学的には大きな差を持っていることを示している。 そこでβ-TrCP2の基質分子と考えられているβ-cateninの過剰蓄積の有無を判定するために、β-cateninの制御配列を持つレポータートランスジェニックマウス(Tcf-LacZトランスジェニックマウス)と交配し、LacZの発現量を調べた。その結果、β-TrCP2ノックアウトマウスが死亡する胎生9.5日には、β-cateninは主に胎児で転写因子として働いていた。β-TrCP2ノックアウトマウスでは、野生型で観察された以外でLacZの発現は観察されなかったが、発現部位に一致してアポトーシス様の細胞が多数観察された。このことは、β-TrCP2ノックアウトマウスではβ-cateninの過剰蓄積にともない、過剰なシグナルによって細胞の生存が脅かされていることを示唆している。
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