2007 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質分解制御機構による酸化ストレス応答機構の解明
Project/Area Number |
19044006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 聡 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50292214)
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Keywords | シグナル伝達 / ストレス / 蛋白質 / タンパク質分解 |
Research Abstract |
高等真核生物における酸化ストレス応答の制御において、Keap1-Nrf2システムは極めて重要な機能を有する。Nrf2は酸化ストレス応答遺伝子の発現を強力に活性化する転写因子であり、一方Keap1は酸化ストレスのセンサーであり、またNrf2の抑制性因子である。このNrf2抑制機構は、Keap1がCul3とユビキチンライゲース複合体を形成することで、Nrf2をユビキチン化しタンパク質分解にもたらす。さらに申請者は、酸化ストレスによるNrf2の活性化は、このKeap1依存的なNrf2タンパク質分解の阻害であることを示している。本研究では、この酸化ストレスがどのようにKeap1依存的なタンパク質分解機構を阻害するのかを解明することを目的としている。本年度において解明した点は、この点において重要な意味を持つと予想されるKeap1のNrf2認識機構を、構造生物学的解析により明らかにした。すなわち、Nrf2のKeap1との相互作用ドメインであるNeh2ドメインは、さらにDLIDモチーフとETGEモチーフに分けられ、それぞれKeap1のDGR/Kelchドメインと静電的に相互作用することを明らかにした。既報によりKeap1はホモニ量体を形成することが示されているため、上記の結果は2分子のKeap1と1分子のNrf2が相互作用するモデルを示唆している。さらに物理化学的な解析から、DLIDとDGR/Kelchドメインの相互作用は、ETGEのそれに比して、弱いことが分かった。したがって、酸化ストレスがKeap1の酸化ストレスセンサーであるシステイン残基の酸化修飾することで構造変化をもたらし、DLIDモチーフがDGR/Kelchドメインから解離し、ユビキチン化が阻害されることが、Nrf2活性化機構の実態であると予想された。
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Research Products
(7 results)