2008 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチンプロテオソーム系によるクロマチン構造の変換機構の解析
Project/Area Number |
19044007
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村山 明子 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (50431656)
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Keywords | ユビキチン / NRDF / HAUSP / クロマチン |
Research Abstract |
本研究では、ユビキチン・プロテアソーム系によるクロマチン構造制御メカニズムを解明することを目的とする。これまでに、クロマチン構造を制御する新規ユビキチンリガーゼNRDFの解析を行ってきたが、NRDFと同様にエストロゲン受容体に結合するユビキチンリガーゼであるCHIPに着目して今年度は解析を行った。CHIPはタンパク質の品質管理をするユビキチンリガーゼとして知られていたが、我々は乳がん患者のサンプルを用いて、乳がんの進行に伴いCHIP発現量が減少することを明らかにした。この結果から、CHIPは乳がん進行に抑制的に働いていることが示唆された。CHIPの発現が多い乳がん細胞をヌードマウスの皮下に移植すると、乳がん組織は小さいままであるが、CHIPの発現を抑制すると乳がん組織は大きくなり、転移も誘導されることが証明された。この分子メカニズムを解析したところ、CHIPは乳がんの進行・転移に関与するたんぱく質を制御していることが明らかになった。とくに、乳がんの転移については、CHIPがAIB1という転写共役因子を直接分解することによって、転移に関わるSmadやTwistといった因子の転写が抑制されることが判明した。また、CHIPの発現が弱い細胞では、CHIPプロモーターのDNAメチル化率が高度であり、クロマチン状態も凝集していることが明らかとなった。以上の結果から、CHIPの発現量が乳がんの進行に重要であることを初めて明らかにすることができた(Nature Cell Biology, 2009)。また、CHIPの発現を元に戻すことが、乳がんの新たな治療になることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] The ubiquitin ligase CHIP acts an upstream regulator of oncogenic pathways42009
Author(s)
Masashi Kajiro, Ryuichi Hirota, Yuka Nakajima, Kaori Kawanowa, Kae So-ma, Ichiaki Ito Yuri Yamaguchi, Sho-hei Ohie, Yasuhito Kobayashi, Yuko Seino, Miwako Kawano, o-ichi Kawabel, Hiroyuki Takei, Shin-ichi Hayashi, Masafumi Kurosumi, Akiko Murayama, Keiji Kimura,Junn Yanagisawa
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Journal Title
Nature Cell Biology 11
Pages: 312-319
Peer Reviewed
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[Presentation] ユビキチンリガーゼCHIPは乳癌の浸潤性を抑制する2008
Author(s)
神代理史, 相馬佳絵, 村山明子, 仲島由佳, 大家祥平, 藤村亜紀子, 山口ゆり, 川野輪香織, 木村圭志, 黒住昌史, 林慎一, 柳澤純
Organizer
第31回BMB2008
Place of Presentation
神戸
Year and Date
2008-12-11