2007 Fiscal Year Annual Research Report
概日時計システムにおける時計タンパク質の分解タイミングの決定機構
Project/Area Number |
19044010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深田 吉孝 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (80165258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 貴美子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (50451828)
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Keywords | 概日時計 / 蛋白質キナーゼ / リン酸化 / 分解シグナル / プロテアソーム / E4BP4 / CRY2 / 転写調節 |
Research Abstract |
交付申請書に記載の研究実施計画に沿って研究を遂行し、下記の成果を得た。 約1日周期の生物リズムを生み出す概日時計は、一群の時計遺伝子の転写・翻訳を介したフィードバクループにより形成されている。そのため、多くの時計遺伝子の転写は時刻依存的に制御され、その翻訳産物である時計タンパク質は約24時間周期で増減を繰り返す。申請者は、このリズミックな転写における「負」の制御因子であるE4BP4とCRY2が時刻依存的に「複数のタンパク質キナーゼによる多段階リン酸化」を受け、プロテアソーム系によって分解されることを世界に先駆けて報告した。本年度は、この多段階リン酸化の引き金を引くキナーゼ(プライミングキナーゼ)を探索した。その結果、概日時計との関与が知られていないキナーゼファミリーがCRY2のSer557をリン酸化する可能性が示唆された。さらに、この分解シグナルの異常が個体の行動リズムに与える影響を調べるため、CRY2のSer557をAlaに置換したノックインマウスを作製した。 一方、申請者らは、正の制御因子であるCLOCKも約24時間周期で低リン酸化状態と過リン酸化状態をサイクルすることを見出した。本研究では、マウスの肝臓において、エクソン19を欠損しているCLOCK変異体がインタクトなCLOCKに比べて低リン酸化状態であること、および変異体の細胞内蓄積量が大幅に増大していることを見出した。培養細胞においてCLOCKのリン酸化を強制的に亢進させたところ、過リン酸化されたCLOCKはプロテアソームを介した分解へと導かれた。以上の結果は、CLOCKの過リン酸化がタンパク質分解において重要なシグナルとして働く可能性を示唆している。今後の解析により、概日時計の負の因子のみならず正の制御因子のタンパク分解が、時計発振の根幹を担うシグナルである可能性を証明したい。
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Research Products
(33 results)