2008 Fiscal Year Annual Research Report
caspaseの細胞増殖および分化制御における本質的生理機能の解析
Project/Area Number |
19044021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米原 伸 Kyoto University, 生命科学研究科, 教授 (00124503)
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Keywords | 遺伝子 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 蛋白質 |
Research Abstract |
Death receptor Fasを介するアポトーシスでは、開始caspaseとしてcaspase-8が機能するが、ノックアウトマウスの解析から、caspase-8は胎生期の心臓の発生や免疫担当細胞の増殖や分化に関与することが示唆されていた。そこで、caspase-8やそのホモログでヒトには存在するがマウスには存在しないcaspase-10の免疫系のT細胞での機能を明らかにすることを目的に解析を行った。 まず、caspaseの発現抑制を誘導する系を構築するため、shRNAの発現を誘導する系を確立した。テトラサイクリンの処理で発現が誘導できるTet-ONのシステムを用いることにより、レンチウイルスベクターによるshRNA発現誘導系を確立した。 つぎに確立したshRNA発現誘導系を用いることによって、マウスTリンフォーマ由来L5178Y細胞においてcaspase-8の発現抑制を誘導できる細胞株を作製した。その結果、doxycycline処理によってcaspase-8の発現抑制を誘導することによって、L5178Y細胞は細胞増殖の停止と細胞死の誘導が引き起こされた。この分子機構を明らかにするために、外来性のcaspase-8およびその各種変異体を発現させることによって、内在性caspase-8の発現抑制による細胞増殖の停止や細胞死の誘導が阻害されるかを解析した。その結果、ワイルドタイプcaspase-8や、前駆体から活性化型に変換するときに切断されるサイトを変異させた活性化型に変換できないcaspase-8変異体の発現で、細胞増殖と生存が回復することが明らかとなった。一方、プロテアーゼの活性中心であるシステイン残基をセリン残基に変異させたプロテアーゼ活性を持たないcaspase-8では回復させることができなかった。caspase-8前駆体のプロテアーゼ活性がT細胞の増殖と線損維持に必要であることが示された。
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