2007 Fiscal Year Annual Research Report
免疫応答の質的制御に関わるサイトカイン受容体のタンパク質分解機構の解明
Project/Area Number |
19044030
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福井 宣規 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 教授 (60243961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
錦見 昭彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (70404019)
實松 史幸 九州大学, 生体防御医学研究所, 非常勤研究員 (80381094)
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Keywords | DOCK2 / Rac / タンパク質分解 / サイトカイン受容体 / アレルギー / 小胞輸送 |
Research Abstract |
抗原刺激に伴い、ナイーブCD4+T細胞は異なるサイトカインを分泌する、機能的にも異なったT細胞サブセットに分化する。Th2細胞への分化にはIL-4受容体を介したシグナルが重要であるが、このプロセスは同時にTCRシグナルの強さに影響されることが知られている。このため、TCRを介したシグナルとIL-4受容体のシグナルとの間に何らかのクロストークが存在すると考えられていたが、その実体は謎であった。 DOCK2は線虫のCED-5、ショウジョウバエのMyoblast Cityの哺乳類ホモログで、免疫系特異的に発現するRac活性化分子である。私達は、DOCK2欠損ナイーブCD4^+T細胞が抗原刺激に伴い大量のIL-4を分泌し、ある系統のマウスにおいてアレルギー疾患を自然発症することを見いだした。野生型のCD4+T細胞を抗TCR抗体で刺激すると、IL-4Rαの細胞表面での発現は一過性に上昇し、その後数時間で元のレベルに戻った。しかしながらDOCK2欠損CD4^+T細胞では,このダウンレギュレーションが障害されており、その結果受容体を介したシグナルが亢進・遷延化していた。このメカニズムを解明すべく詳細な解析を行い、DOCK2がRacの活性化を介して、IL-4Rαのリソソームへの輸送およびタンパク質分解を制御していることを突き止めた。阻害剤等を用いた実験より、この輸送には微小管とよばれる細胞骨格成分が関与していると考えられた。すなわち, TCRの下流でDOCK2-Racシグナルが作動すると、IL-4Rαの細胞内輸送を介してその発現をコントロールし、過剰なIL-4シグナルがT細胞に伝わるのを未然に防ぐという、極めて精緻な制御機構が存在することを明らかにした。
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