Research Abstract |
DNA複製のライセンス化因子Cdt1のN末には,約10アミノ酸残基よりなる種間で保存されたPCNA結合配列(PIP-ボックス)がある。我々は,染色体の複製に必須なPCNAが,新たな機能として,Cul4-DDB1を含むユビキチンリガーゼとともに,Cdt1の分解に関わることを明らかにした。この分解系は,S期のみ機能する。また,UVなどのDNA損傷を受けたときにも機能する。PIP-ボックスを持つPCNA結合蛋白質は数多く知られている。 BLM DNAリガーゼ,CDKインヒビターp21などを材料に,S期やUV照射後,分解されるかどうか調べたところ,p21タンパク質がPCNA依存的に分解されることを明らかにした。これまで。 SCF-Skp2系がp21の分解に関わることが報告されていたが,Skp2をサイレンジンクしても影響はなかった。一方,PCNAをサイレンジンクあるいは,p21のPIP-ボックスに変異を入れるとp21は,S期およびUV照射後,安定化した。プロテアソーム阻害剤で前処理するとp21タンパク質の分解が押さえられ,ユビキチン化を示す高分子体が検出できた。続いて,p21の分解がCul4-DDB1依存的であることを示すため,Cul4やDDB1の発現をsiRNAを用いて抑制すると,S期およびUV照射後分解されなくなることを確認した。また,Cul4やDDB1がp21と結合することを明らかにした。さらに,Cu14-DDB1に結合してCdt1の分解に関わる因子として見つかったCdt2が,p21の分解に必要であることを明らかにした。 HeLa細胞でのp21タンパク質量を細胞周期を追って調べると,S期に減少している。これらの結果p21は,S期の開始後,PCNAがクロマチンに結合するとCul4-DDB1-Cdt2系により分解されるといえる。
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