2007 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルの転写因子Lef1のタンパク質分解の制御機構と生理学的意義の解明
Project/Area Number |
19044035
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石谷 太 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 特任准教授 (40448428)
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Keywords | Wnt シグナル / Tcf / Lef / NLK / ゼプラフイッシュ |
Research Abstract |
Wntシグナル伝達系は、「動物の体の形態形成」、「幹細胞の増殖」、「癌の発症」に関わる重要なシグナル伝達経路である。Wntシグナルの機能と制御の解明は、将来的な新たな医療技術の開発や創薬につながると期待されている。Wntシグナルは、細胞が細胞間情報伝達分子Wntを受容することにより活性化する。Wntシグナルが活性化した細胞では、転写因子Tcf/Lefが標的遺伝子の転写を誘導する。私たちはこれまでに、「(1)Tcf/Lefファミリーの転写因子Lef1がユビキチンープロテアソーム系によって分解されていること」、「(2)シグナルタンパク質NrarpがLef1の分解を阻害し、Lef1を安定化すること」、そして「(3)NrarpによるLef1分解の回避が神経堤細胞の発生に関わること」を見出している。しかし、Lef1の分解の制御機構は分子・個体いずれのレベルにおいても未だに理解が不十分である。本研究においては、脊椎動物個体を用いた細胞生物学的及び遺伝学的解析と生化学的解析を組み合わせて研究を行い、Lef1タンパク質の安定性の制御とその意義を解明することを目標とする。 本年度はまず、Nrarp結合蛋白質の探索を行った。そして、BAG2-CHIP複合体がNrarpに結合すること、BAG-CHIPがLef1分解を促進することを見いだした。来年度以降は、BAG2-CHIPが個体レベルにおいてもLef1分解に貢献しているかどうかを検討する予定である。 これまでにNLKと呼ばれるキナーゼがin vitroでLef1の分解を正に制御することが分かっている。そこで、NLKがin Vivoにおいても同様の機能を担うかどうかゼブラフィッシュを用いて検討した。その結果、NLK機能阻害胚がWntシグナルが亢進したときと同様の表現型を示すことが明らかになった。現在、その表現型をさらに詳細に検討している。
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