2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19045006
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉村 建二郎 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (10230806)
|
Keywords | 機械受容 / イオンチャネル / クラミドモナス / 細胞内膜 / ヒステレシス / 電気生理学 / 細胞生物学 / 藻類 |
Research Abstract |
原核生物には普遍的にMscSという機械受容チャネルがあり、低浸透圧ショックの時に開いて細胞破裂を防いでいる。最近、植物や菌類などのゲノム中にMscSのホモログが存在することが分かってきたが、真核生物での機能はよく分かっていない。われわれの今までの研究により、クラミドモナスのMscSホモログのひとつであるMSC1が細胞内膜にある機械受容チャネルであることが分かっている。本研究では、さらにMSC3の解析を行うとともに、MSC1のチャネルとしての特徴の詳細な解析を行う。 1クラミドモナスのMscSホモログMSC3の分子生物学的解析と局在の解明 クラミドモナスのMscSホモログのひとつであるMSC3の抗体を作成し、細胞内局在を蛍光抗体法により調べた。MSC3は細胞質では主に核と葉緑体の間、そして、葉緑体のピレノイドをのぞく部分に点状に分布していた。この分布はMSC1の分布と共通し、MSC3も細胞内で機械受容を行っていることを示しており、興味深い。 2MscSホモログの電気生理学的性質の解明 MSC3を大腸菌に発現させ、パッチクランプにより電気生理学的性質を調べた。奇妙なことに、ひとつの遺伝子を発現しているにもかかわらず2つの特徴の電流が測定された。小さなコンダクタンスの活性はヒステレシスを示しイオン選択性が無かったのに対し、大きなコンダクタンスの活性はヒステレシスがなく、イオン選択性があった。どのような機構でこのような2つの活性を示すのか、興味深い発見である。 Msc1において、ヒステレシスがどの部位に由来するかをMscSとのキメラタンパク質を作成して調べたところ、細胞質ドメインが原因であるとのデータを得ることができた。 以上の結果は、MSC1とMSC3は「細胞内機械受容」という新しいタイプの刺激受容系を担っていることを示している。
|