2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19045008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 学 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 講師 (60301785)
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Keywords | 受精 / 精子活性化・誘引物質 / シグナル伝達 / 動物生理化学 / 精子走化性 / カルシウム / カタユウレイボヤ |
Research Abstract |
受精時に見られる精子走化性現象において、精子がどのように空間勾配を形成する誘引物質を認知し、運動機能を変化させているかを解明することを目的とする。実験材料としては、既に誘引物質が我々の手で同定され、さらにゲノム解読も既に終了している原索動物カタユウレイボヤを用い、期間内においては、センサー分子である誘引物質受容体の同定と精子誘引物質の関知機構について研究を進めた。 1) センサー分子である精子誘引物質SAAF受容体の同定:ビオチン化SAAFをアビジン固相化カラムに結合させ、このカラムによるアフィニティ精製法によってSAAF受容体の探索を行った。その結果370kDa及び160kDaの候補タンパク質を見いだした。タンパク質の部分配列の同定の結果、370kDaのものが膜タンパク質ATP2B3であることが明らかとなった。 (2) 精子によるSAAF分子の関知機構:精子がどのようにSAAFの濃度勾配を認識しているか検討を行った。本年度は精子外液の灌流が可能なチャンバー内でマイクロインジェクターを用いてSAAFを直接精子に作用させる系を構築した。また、ユウレイボヤの精子活性化及び走化性にはNa^+/Ca^<2+> exchanger (NCX)が重要な働きを持つが、実際に細胞内からのCa^<2+>排出に働いていることが明らかとなった。 (3) 卵によるSAAF分子の放出機構:精子がどのようにSAAFを認識し、受精に至るかを研究する上で、卵がSAAFを放出する機構を調べることは必要不可欠である。そこで卵よりSAAFが放出される機構を分子生物学的に探索した。まず卵膜上にあるSAAF結合タンパク質をプロテオミクスの手法で探索したところ、SAAFと特異的に結合するタンパク質としてVCP/p97が同定され、SAAFの卵内局在に関わることが示唆された。
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Research Products
(11 results)