2007 Fiscal Year Annual Research Report
代謝型グルタミン酸・GABA受容体の相互連関とメタ・シナプス可塑性
Project/Area Number |
19045019
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田端 俊英 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (80303270)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 / シナプス可塑性 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
ニューロン活動依存的なシナプス伝達強度の変化=シナプス可塑性は学習・記憶を支える生物学的メカニズムである。我々は運動学習を支える小脳長期抑圧(LTD、小脳皮質において平行線維→プルキンエ細胞シナプスの伝達効率が数時間以上にわたって減弱する現象)をモデルとして、その誘導機構を追求してきた。小脳LTDの誘導を主導するのはプルキンエ細胞に発現する代謝型(G_qタンパク共役型)グルタミン酸受容体mGluR1である。我々はこの受容体がG_<i/o>タンパク共役型受容体であるB型γアミノ酪酸受容体(GABA_BR)と複合体を形成していることを発見した。我々は、GABA_BR-mGluR1相互連関が小脳LTDに及ぼす影響を解析し、その生理的意義を解明したいと考えている。通常、脳髄液には数十nMのGABAや数mMの細胞外Ca^<2+>が含まれている。これら低濃度のリガンドを受容したGABA_BRはG_<i/o>タンパク非依存的にmGluR1のグルタミン酸感受性を亢進させ、LTDの誘導効率(起こり易さ)を高めることが示唆された。一方、小脳皮質の抑制性介在ニューロンが高頻度で発火すると、そのシナプス終末から高濃度(数μM)のGABAがspillover(漏出)する。高濃度のGABAを受容したGABA_BRはG_<i/o>タンパク依存的にmGluR1シグナルを増強し、LTDの深度(抑圧の度合い)を深めることが示唆された。またこのようなシグナル増強によるLTDの促進がin situ(小脳スライス)においても発生しうることが分かった。
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