2007 Fiscal Year Annual Research Report
AMPキナーゼの活性化と核移行に関わる調節サブユニットの分子連関
Project/Area Number |
19045029
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
箕越 靖彦 National Institute for Physiological Sciences, 発達生理学研究系, 教授 (10200099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 敦 生理学研究所 (50418993)
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Keywords | 生理学 / 生体分子 / 発現制御 / 酵素 / AMPキナーゼ / レプチン |
Research Abstract |
AMPキナーゼ(AMPK)は、細胞内あるいは動物個体全体のエネルギー状態を感知して代謝や摂食行動を調節することから"metabolic sensor"あるいは"fuel gauge"と呼ばれている。AMPKは、AMPによるアロステリックな活性化とAMPKKによるαサブユニットのリン酸化によって活性化される。またAMPKはα1及び2、β1及び2、γ1、2及び3が存在し、計12種類の組み合わせが存在し、これによって多様な調節作用を営んでいると考えられる。本研究では、AMPKによる多様な調節作用の一端を明らかにする目的で、C2C12細胞を用いてレプチンによるAMPKへの調節作用を調べた。その結果、レプチンによって活性化したα2AMPKは、β(制御体)サブユニットの種類によって異なる細胞内分布を取ることを見出した。すなわち、β2サブユニットを持つα2AMPKは核移行してPPARαの遺伝子発現を促進し、その結果、脂肪酸酸化関連遺伝子の発現を高めた。一方、β1サブユニットを持つα2AMPKは、β1がミトコンドリア膜などにミリストイル化によって結合するためにα2AMPKが活性化しても核移行することなく、細胞質においてACCをリン酸化し、ミトコンドリアでの脂肪酸酸化を促進した。このようにレプチンは、AMPKのヘテロ三量体を構成するサブユニットの分子種を巧みに使い分けることにより、ミトコンドリアでの脂肪酸酸化と遺伝子発現を誘導し、抗糖尿病作用を引き起こすことが明らかとなった。
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