2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19059007
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
烏山 一 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60195013)
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Keywords | B細胞 / プレB細胞レセプター / 発現調節 / 好塩基球 / アレルギー / 炎症 / 感染症 |
Research Abstract |
免疫系において抗体産生を担うB細胞は、骨髄において分化成熟し、その過程で自己と反応するクローンは排除され、有用なクローンが末梢に供給される。B細胞分化誘導にプレB細胞レセプター(preBCR)が重要な役割を果たしているが、その発現制御機構、とりわけ発現終焉を誘導するメカニズムに関してはほとんどわかっていない。preBCRのシグナル制御異常による自己免疫疾患、白血病の発症機構を解明する上でも、preBCR発現終焉機構の解明は重要である。従来、preBCRからのシグナルがpreBCRを構成する代替軽鎖の遺伝子発現を抑えることでpreBCR発現終焉がひきおこされるものと考えられていたが、実は代替軽鎖遺伝子発現が抑制される以前にすでにpreBCRタンパクの発現量が低下していくことが判明した。さらに、preBCRからのシグナルによりリソソームに局在する膜結合蛋白質の発現が上昇することが明らかとなった。これらのことから、preBCR蛋白質複合体がpreBCRシグナル依存的にリソソームで分解されることで、preBCRの発現が速やかに終焉するというメカニズムが強く示唆された。 顆粒球のひとつである好塩基球は、末梢血白血球のわずか0.5%を占めるに過ぎない最少血球細胞で、組織に常在するマスト細胞といくつもの類似性があるため、これまでほとんど注目されていなかった。私たちは昨年度までの研究で、好塩基球がIgE依存性慢性皮膚アレルギー炎症ならびにIgGを介する全身性アナフィラキシーの誘導に重要な役割を果たしていることを明らかにしたが、本来の好塩基球の生体内での役割はよくわかっていない。そこで様々な感染症モデルで検討したところ、寄生虫(内部ならびに外部寄生虫)に対する生体防御に好塩基球が深く寄与していることが明らかになってきた。
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