2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19059012
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
千住 覚 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (50274709)
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Keywords | 樹状細胞 / 自己免疫 / 胚性幹細胞 / MHC / β2ミクログロブリン / ペプチドトランスポーター(TAP) / 遺伝的改変 / 免疫制御療法 |
Research Abstract |
我々は、ES細胞の有する未分化状態での増殖能力と多様な細胞への分化能力に着目し、ES細胞からの分化誘導により作製した樹状細胞を用いた免疫応答制御に関する研究を行っている。ES細胞に由来する樹状細胞の医療応用においては、組織非適合性の問題が最大の障壁となる。本年度の研究では、この問題の解決のために1)ヒトES細胞におけるHLAの発現に関連する分子の遺伝子改変2)ES細胞を用いて開発した技術をips細胞に適用するという2つの方法を検討した。 1. ヒトES細胞における遺伝子標的破壊および標的導入技術の開発 昨年度までの研究により、ヒトES細胞から樹状細胞(ES-DC)を分化誘導する培養法、さらに、ES細胞段階での電気穿孔法によるベクター導入により、遺伝的改変により機能を修飾したヒトES-DCを作成する技術を開発していた。今年度は、ヒトES細胞において遺伝子標的破壊および標的導入を行うシステムの開発を試みた。具体的には、ヒトES細胞において、HLAクラスI分子に結合するペプチドのトランスポーターであるTAP1遺伝子の標的破壊を試みたが、現時点では、ヒトES細胞における遺伝子標的破壊は成功していない。 2. マウスES細胞およびiPS細胞からの樹状細胞を用いた免疫制御法の検討 マウスiPS(induced pluripotent stem)細胞から樹状細胞(iPS-DC)を作製する方法を確立した。マウスiPS-DCのin vitroにおける様々な機能解析を行うとともに、マウスiPS-DCのマウス個体への投与による免疫制御についての研究も行っている。本年度の研究では、未分化なマウスiPS細胞へ抗原(OVA)の発現ベクターを導入し、このiPS細胞から作製したiPS-DCをマウス個体へ投与する細胞ワクチン法により、OVA抗原特異的なT細胞の活性化、さらに、OVA抗原発現腫瘍細胞に対する拒絶効果の誘導が可能なことを確認した。
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Research Products
(30 results)