2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞多様化と神経回路組織化をもたらす分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
19100006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八木 健 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 教授 (10241241)
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Keywords | カドヘリン / 神経細胞 / 多様性 / 神経回路 / 遺伝子制御 / セロトニン / 脳機能 / 遺伝子クラスター |
Research Abstract |
本研究は、脳神経系で発現する多様化膜分子群、プロトカドヘリンファミリーに注目し、脳形成における神経細胞の多様化、神経回路形成における新たな分子メカニズムの解明を目的として研究を行っている。プロトカドヘリンファミリーは、Pcdh-a,Pcdh-b,Pcdh-gの遺伝子クラスターから構成されており、多様化した可変領域エクソンとPcdh-aやPcdh-gに共通した定常領域エクソンからなる。単一プルキンエ細胞を用いた解析によりPcdh-aやPcdh-gの可変領域エクソンが、個々の神経細胞ごとに異なった発現様式をとっていることが明らかとなっており、この発現が対立遺伝子にあるクラスターごとに制御されていることが明らかとなっている。本年度は、Pcdhクラスターにあるプロモーター領域のDNAメチル化パターンを解析し遺伝子制御機構にDNAメチル化が関与している可能性について検討した。また、Pcdh-aの遺伝子変換マウスの作製に成功し、この遺伝子変換マウスにおいて嗅神経の異所的な投射異常を明らかにした。その結果、Pcdh-aが嗅神経回路形成において機能的分子であることが明らかとなった(Hasegawa et al.2008)。さらに、Pcdh-aの定常領域欠損マウスを用いた行動学的解析により、恐怖条件付け学習の充進、Pre-Pulse inhibitionの低下の異常が明らかとなった。更に、この遺伝子変換マウスの海馬体においてセロトニン量の増加が認められた(Fukuda et al.2008)。セロトニン神経についての解析を行ったところ、Pcdh-aが縫線核にあるセロトニン神経細胞で強く発現しており、この発現は成体まで続いていることが明らかとなった。また、Pcdh-a変換マウスでは、セロトニン神経回路形成の異常が発達とともに顕著になることも明らかになった。
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Research Products
(25 results)