2007 Fiscal Year Annual Research Report
航空機観測に基づくアジアのブラックカーボンの気候影響の解明
Project/Area Number |
19101001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 豊 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 教授 (20110752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹川 暢之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (00324369)
宮崎 雄三 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60376655)
小池 真 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (00225343)
竹村 俊彦 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (90343326)
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Keywords | エアロゾル / ブラックカーボン / 航空機観測 / アジア / 気候影響 |
Research Abstract |
レーザー誘起白熱法に基づくブラックカーボンの粒径分布・混合状態(被覆の厚さ)を測定する装置SP2の光検出器の増幅器を改造した。測定可能なブラックカーボンの直径範囲を90-500nmより90-1100nmに拡げた。光散乱性エアロゾルの測定直径範囲も240-700nmから200-1100nmに拡げた。この世界でも最高レベルの測定器をNASAのDC8観測用航空機に搭載し、2008年の4月、7月と北極を中心にしたブラックカーボンの粒径分布・混合状態の測定を行った。春季はアラスカを中心に北極点・グリーンサンドの範囲まで観測飛行を行った。この時期にはシベリアなどのバイオマス燃焼により発生した大量のブラックカーボンが北極の自由対流圏に長距離輸送されていることが観測された。またアジアの人為起源エアロゾルも北極域に輸送されていることも判明した。このブラックカーボンは有機成分や硫酸塩により厚く被覆されており、光吸収効果の増幅作用があると推定される。観測期間中、別の飛行機に搭載されたアメリカのグループのSP2との同時比較観測を行い、良い一致を得、お互いの測定の信頼性を確認した。夏はカナダのアルバータ州及びアメリカのカリフォルニア州を中心観測を行った。森林火災により発生した直後のブラックカーボンの測定に成功した。ブラックカーボンは一酸化炭素やアセトニトリルと良い相関をもっていること、発生直後から有機化合物により被覆されていることなどが初めて測定された。この相関から、ブラックカーボンの発生量をより正確に見積もることが可能となる。火災近傍で発生した対流活動により、ブラックカーボンが上部対流圏にまで効果的に輸送されることも観測された。また夏季の自由対流圏のブラックカーボンの濃度は春に比べかなり低くなっていることが見出された。これらのデータを、3次元の数値モデルと比較し、モデルを検証する試みも始めている。
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