2008 Fiscal Year Annual Research Report
航空機観測に基づくアジアのブラックカーボンの気候影響の解明
Project/Area Number |
19101001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 豊 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 教授 (20110752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 真 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (00225343)
宮崎 雄三 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60376655)
竹村 俊彦 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (90343326)
茂木 信宏 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (20507818)
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Keywords | エアロゾル / ブラックカーボン / 航空機観測 / アジア / 気候影響 |
Research Abstract |
春季に長崎県福江島でレーザー誘起白熱法に基づくSP2測定器によりエアロゾルの粒径分布・混合状態を測定した。このデータを解析した結果、アジア大陸からの空気塊中ではブラックカーボンの濃度は最大になること、また質量粒径分布の中央直径値が200-220nmであることが示した。主要な揮発性エアロゾルの化学成分は有機成分と硫酸塩であることがエアロゾル質量分析計の測定から明確になった。中国起源の空気塊中では全エアロゾル直径(Dp)とブラックカーボンの直径(DBC)の比率Dp/DBCが平均して約1.6にも達していた。観測されたェアロゾルの粒径分布・混合状態から光吸収係数・単一散乱アルベドを計算した。ブラックカーボンの被覆により、光吸収係数は50-60%も増大すると推定された。アジア大陸起源の空気塊中では光吸収係数は清浄な海洋性空気塊に比べ2-3倍も大きく、ブラックカーボンによる大気加熱が東アジアでは重要と考えられる証拠が示された。 ブラックカーボンの光学モデルの検証を室内実験・野外観測で行った。グラファイト粒子を有機化合物で被覆し、光吸収量の変化を実験室で測定した。Dp/DBC比が2まで厚く被覆されると光吸収は2倍ほど増大することが初めて測定された。この増幅の様子は、エアロゾルshel/core光学モデルで比較的良く再現され、このモデル計算の精度が検証された。一方、大気中のブラックカーボンはフラクタル構造をもっており、この場合は球形を仮定したShell/coreモデルによる計算の精度は自明ではない。東京の大気中のブラックカーボンの光吸収係数、消散係数の測定をSP2測定との同時に行った。より高度な光学モデルを検証する十分なデータを取得した。並行して航空機観測用の空気取り込みシステムの開発を行った。航空機上で測定したブラックカーボン濃度を地上の値を比較しこのシステムの信頼性を確認した。
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Research Products
(23 results)