2010 Fiscal Year Annual Research Report
航空機観測に基づくアジアのブラックカーボンの気候影響の解明
Project/Area Number |
19101001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 豊 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20110752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂木 信弘 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (20507818)
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Keywords | エアロゾル / ブラックカーボン / 航空機観測 / アジア / 気候影響 |
Research Abstract |
ブラックカーボンは、太陽光を強く吸収し大気を加熱するため、対流が抑制され、雲の生成・降雨が抑制される。またブラックカーボンは雲凝結核として作用するため、雲の反射率、雲量、降水量などの変化も引き起こす。これまでブラックカーボンの気候影響を研究する上で鍵となる粒径分布、被覆量、光吸収率の測定が全く行われてこなかった。 2009年の春季に行ったブラックカーボンなどの航空機観測によって得られたデータを解析した。中国からの汚染空気塊の流出が顕著な東シナ海・黄海上空におけるエアロゾルの粒径分布・濃度・混合状態の高度分布を明らかにした。また、測定されたブラックカーボンの高度分布を、3次元数値モデルで計算された値と比較した。数値モデルは観測地を良い精度で再現した。この理由は主として数値モデルがブラックカーボンの輸送効率を良い精度で再現していることによる。このブラックカーボンの輸送効率をさらに詳細に推定した。ブラックカーボンの被覆と粒径には良い正の相関があることを見出した。これは時間の進行と共に凝縮・凝集が進行することを示している重要な結果である。 2008年の春と夏に得られた北極・中緯度でのブラックカーボンのデータを解析した。春季のデータでは、長距離輸送されたブラックカーボンの粒径分布、被覆量の特性を評価し、ブラックカーボンの発生源を同定した。夏に得られたアメリカおよびカナダでの森林火災近傍でのデータからそれぞれの発生源付近でのブラックカーボンの粒径分布、被覆量の特性を評価した。またブラックカーボンと他のトレーサーとの相関の傾きから、森林火災による発生源付近での放出比を求め、従来の発生量の推定の誤差を評価した。またブラックカーボンの被覆量の増大には凝集過程が重要な役割を果たしていることを示した。これらの結果をJGR誌に出版した。 また春季と夏季におけるブラックカーボンの北極への輸送効率を推定した。春季のロシアでのバイオマス燃焼により生成するブラックカーボン質量の輸送効率は80%程度であるのに対し、夏季には3%程度にまで低下する。これはブラックカーボンの降水による除去が夏季に著しく増加することに起因することを、降水量の推定を用いて示した。この結果をJGR誌に出版した。
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[Presentation] Estimation of the black carbon(BC)emissions from East Asia based on accurate BC measurements in the Asian outflow2010
Author(s)
Y.Kondo, N.Oshima, M.Kajino, R.Mikami, R.L.Verma, Y.Kajii, S.Kato, A.Takami, N.Takegawa, K.Kawana
Organizer
AGU 2010 Fall meeting
Place of Presentation
San Francisco, USA
Year and Date
2010-12-15
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