2009 Fiscal Year Annual Research Report
メチル水銀毒性の発現とその調節に関わる細胞内機構の解明
Project/Area Number |
19101003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永沼 章 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 教授 (80155952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久下 周佐 東北大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (50186376)
黄 基旭 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (00344680)
高橋 勉 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (00400474)
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Keywords | メチル水銀 / 毒性発現調節 / ユビキチン・プロテアソームシステム / 脱ユビキチン化酵素 |
Research Abstract |
メチル水銀毒性の発現に関わることが昨年度判明したユビキチン転移酵素分子種の1つであるUbc2の基質蛋白質を検索し、メチル水銀毒性を増強させる蛋白質として既に我々が同定しているD1d3の細胞内レベルがUbc2の欠損によって上昇することが判明した。メチル水銀毒性に関わる脱ユビキチン化酵素の分子種について検討したところ、Ubp2、Ubp4、Ubp6およびUbp14がメチル水銀毒性増強作用を示し、Ubp7、Ubp13およびUbp15がメチル水銀毒性軽減作用を示すことが明らかになった。一方、タンデムユビキチンであるUbi4がエンドソームを介した液胞への蛋白質輸送を亢進することによってメチル水銀毒性増強作用を示すことも判明した。Ubp7、Ubp13およびUbp15は共にこのUbi4のモノユビキチンへのプロヤシングを亢進することによって蛋白質の液胞への輸送系を負に制御することによってメチル水銀毒性を軽減し、Ubp6はプロテアソーム上で機能してユビキチン化されたWhi2(我々が見出したメチル水銀毒性増強蛋白質)のプロテアソームでの分解を抑制することによってメチル水銀増強作用を示すことが明らかになった。さらに、ユビキチン化Whi2はシャトル蛋白質Rad23によってプロテアソームへ運搬され、Rpn10(ポリユビキチン鎖レセプター)に認識された後に分解されことも判明し、Ubp6はプロテアソームに運搬されてきたユビキチン化Whi2からユビキチンを解離させることによってWhi2のRpn10を介したプロテアソームによる分解を負に制御していることが示唆された。また、メチル水銀毒性の発現に影響を与え、かつ、メチル水銀によってユビキチン化が促進される蛋白質としてSis1を同定することに成功し、メチル水銀によるユビキチン化促進機構解明の突破口が開かれた。
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Research Products
(20 results)